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絵に込められたもの
2部分:第二章
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「あいつ?」
「だから私にはわかるのだ」
 声もまた幽鬼のそれを思わせる恐ろしいものになってしまっていた。
「あいつが殺した。私の家族を」
「あいつとは一体」
「今描いている」
 描きながらの返答であった。
「この女だ」
「これは女だったのか」
「そうだ」
 田山はじっと今自分が描いている絵を見据えながら杉原に答えたという。描いている間一度も彼の方を振り向くことなく。ただただ描いていたという。
「この女が妻も子供達も殺した」
「まさか」
「いや、わかる」
 血走った声での返事だったという。
「わかる。だから描くのだ」
「一体何だというのだ」
 杉原は何故それがわかるのか全く理解できなかったらしい。そしてそれ以上に田山が恐ろしかったという。完全に何かに取り憑かれ恐ろしい絵を描き続ける彼が。恐ろしくて何も言えなかったという。

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