暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第二百二十七話 荒木謀反その五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「それがじゃ」
「僅か五千」
「他の家に命じられた数も少ないとか」
「有岡城をそれだけで攻め落とせるということですか」
「そうやも知れぬが」
 しかしとも言う元就だった。
「主な者は全て来る様に命じられたな」
「はい、毛利家の者達も」
「左様ですな」
「そして他の家からも」
「九州からは立花殿も出られる」
 立花宗茂、彼もというのだ。
「立花道雪殿、高橋紹運殿もな」
「鍋島殿もですな」
「島津家からは四兄弟が全て」
「武田、上杉、北条、伊達の諸将も出られるとのこと」
 それぞれの二十四将、二十五将、二十八将もというのだ。
「徳川十六神将に浅井、長宗我部」
「織田家からも主な将帥は全て出陣されるとか」
「その顔触れに比して兵は少ない」
「そこがわかりませぬな」
「そうじゃな。どうしたお考えか、上様は」
 鋭い元就も首を傾げさせる。
「わからぬ、しかし城に向かうぞ」
「はい、有岡城に」
「荒木殿が謀反を起こされたその城にですな」
「向かいましょう」
「ではな」
 出す様に言われた兵の少なさにいぶかしみながらもだった、元就も出陣した。かくして天下の名のある者達が有岡城に向かうことになった。
 その報は荒木にも届いた、彼と地獄までと誓った家臣達は荒木にこのことを報告した。だが荒木はそう聞いてもだった。
「わかった」
「それだけですか」
「あの、殿」
「天下の諸将が集まります」
「兵の数も十万は来るとか」
 織田家の動かす兵にしては少ないが大軍だというのだ。
「それに対して我等の兵は僅か」
「二千もおりませぬ」
「しかも兵も来ませぬ」
「殿、今からでもです」
「兵を集めましょう」
「そうしましょうぞ」
「兵か、兵ならな」
 ここでだ、荒木は言った。
「おそらく間もなくじゃ」
「間もなく」
「間もなく、ですか」
「集まると」
「そう仰るのですか」
「うむ」
 その通りだというのだ。
「来るぞ」
「あの、兵を集めていませんが」
「銭も出そうとしていませんし」
「それで人が集まるのか」
「あの、殿何か」
「何処かにつてが」
「つてか、ないがしかしじゃ」
 それでもというのだ。
「わしの読みが正しければ来るぞ」
「兵がですか」
「この城に」
「ならいいですが」
「それならば」
 家臣達も荒木の言葉にここは下がった、だが兵が集まるとはとても思えなかった。それでこの謀反は終わるとさえ思った。
 しかしだ、それでもなのだ。
 この話からすぐにだった、まさに次の火にだった。
 城に浪人達が次から次に来た、そして言うのだった。
「どうかです」
「わしをお使い下さい」
「荒木家の末席に立って戦います」
「ここを死に場所とします」
「飯になるのなら
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ