3部分:第三章
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第三章
その首を見つつ思う。これからのことを。
「さすれば」
その二つを手に早速翌日から中津に向けて下る。安芸に辿り着くと早速そこで飯尾という家の鬼七郎という少年のことを尋ねた。すると皆一様にこう言うのであった。
「その者でしたらもう亡くなりましたか」
「ふむ、やはり」
大崎はそれを聞いて納得した顔で頷くのであった。
「左様でしたか。道理で」
「あの、何かあったのでしょうか」
鬼七郎を知る者達が彼に問うのであった。
「実はですね。大阪でその鬼七郎殿と思われる方に御会いしまして」
「馬鹿な」
これは安芸の誰もが否定した。何しろ彼がもうこの世の者ではないことは他ならぬ彼等が最もよく知っていることであったからだ。
それで声を驚かせて大崎に問う。しかし彼の返事もまた変わらなかった。
「ところがです」
「御覧になられたというのですか」
「左様、会って話もしました」
「馬鹿な、たかりではござらぬか」
「何しろ彼の者は」
「では証を御見せしましょう」
彼等が全く信じようとしないのでここれ証拠を見せることにした。言うまでもなくあの二つである。それを今彼等の前に出すのであった。
「この二つでおわかりでしょうか」
「むむっ、それは」
「紛れもなく」
その二つを見せられて彼等も納得するのであった。それは飯尾家の刀でありもう一つの男の首は。これまた安芸の者達にとっては知らぬ者はないものであった。
「これで宜しいしょうか」
「はい」
「確かに」
彼等もこの二つのものを見て納得するのであった。そうしてそのうちの一つの男の首を見て大崎に対して述べるのであった。
「これは我が藩より脱藩した岡沢という者の首でござる」
「岡沢といったのですか」
「左様。鬼七郎の父君を闇討ちし」
彼等は大崎に対して事情を話すのであった。これは彼も知ってはいたがまた聞くことになった。
「飯尾家ではこの者を敵として探しておったのです。それを討つことは鬼七郎殿の宿願であり申したがこの度の西国の流行り病において」
「亡くなられたのですか」
「そういうことでござる。その際棺に彼の御仁の母君がその刀を屍と共に入れたのですが」
「それが今ここにあるとなると。やはり」
彼等も事情がわかるのであった。奇異な顔と微笑みを同時に見せていた。
「果たしもうしたか」
「死してなお」
「思えば。不思議な話ですな」
大崎は彼等とここまで話して思うのであった。
「死しても父君の敵を討つとは」
「全く以って」
「しかし凄いのは」
彼等もまたあらためて言うのであった。
「何があっても敵を討とうという」
「その心の強さですな」
「全くでござる。さすれば」
大崎はその話に納得し頷きながらまたここで言うのであった。
「そ
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