3部分:第三章
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の鬼七郎殿に頼まれていることを果たさせて頂きます」
「それは一体」
「彼の御仁の母君にこの二つをお見せしお渡しすることです」
またその手にある刀と首を見せての言葉であった。
「これをお見せして敵討ちが果たされたことをお伝えするのです」
「左様ですか」
「宜しければ。御母堂のところに案内して頂けるでしょうか」
「ええ、わかりました。さすれば」
「こちらです」
こうして彼は鬼七郎の母のところに参上して刀と首を見せるのであった。母はそれを見て何も言わずただ泣くだけであった。しかしそれこそが何よりの心の証であった。
その後大崎はこの母は出家し尼となり夫と子の菩提を弔い続けたという話を風の話で聞いた。思えば死してなお敵討ちを果たした鬼七郎の心の強さである。しかしそれを受けてあえて何も言葉を出さす静かに涙を流し後に夫と共にその子の菩提を弔った母の芯の強さである。江戸の初期のまだ戦国の名残の残る時代の話である。
敵討ちのこと 完
2008・2・14
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