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フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
Extra episode
Thief and Assassin
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出すなんて・・・!!

「ま、あいつのことだ。私なんかがいなくなってもお構いなしに今頃呑気に寝ているだろうさ。」
「ほう、随分とお前に嫌われているようなんだな、そいつって。」
「嫌いっていうか、何だろ・・・信用が出来ないんだよね〜あいつ。こう全身から胡散臭さが醸し出されている、というか?」
「ふん、ひどい言われようだな。盗賊のお前さんに言われるのもまた腹立たしいだろうよ。」
「ふふ、まあね。








って」

 いつの間にか会話していた。恐る恐る顔を上げると、暗闇の中で誰かが立っている。よく見えない。
 と、その時タイミングよく(後から思うとこれはむしろ悪かったのかもしれない)牢屋の外にある小さな窓から月明かりが降り注いだ。
 その光で映り込んだのは・・・


「ところで、お前の言う『あいつ』とはもしかしてこんな顔をしている奴のことか?」


 『あいつ』が物凄く不機嫌そうな顔をして立っていた。








 夜も更けて、誰もいない道をトボトボと歩いた。いや、正確には前をスタスタ歩いて行くコイツに遅れないよう時々早足になっているが。まったくコイツときたら女性への労わり方も知らないのかい!・・・まあ、助けてもらっておいてなんだけどさ。
 それでも聞かずにはいられなかった。

「ねえ、アンタって何者なの?」

 いかに自分が油断していたとはいえ、あそこの守りはかなりのものだ。それを誰にも気づかれることもなく私のいる牢屋までたどり着けるはずがない。地下牢に続く扉の前には見張りが二人いたが、見事に昏倒されていた。争った物音もなく。
 極め付けはさっきのことだ。鍵を持っていない状態でどうやって助けるのかと思いきや、どこからか取り出したナイフで太い鉄格子を両断してしまった。
 とてもじゃないけど、ただの没落貴族の出の奴ができることじゃあない。
 コイツは立ち止まり顎に手を当て少し考えたあと、「まあいいか。」と呟いた。

「没落貴族ってのは嘘だ。」

 やっぱり。それは何となく分かっていたから驚きはしない。だけど次の言葉は完全に予想外だった。

「俺は・・・コルベールの使い魔だ。」


 それから、彼は事情を話した。彼は10年ほど前にコルベールによって召喚され、以来ずっと一緒にいるのだと。
 
 それで知った。彼は、唯の人間ではないということ。そして彼は私以上に、孤独の身であるということ。
 
 その内に、今度は私が自分のことをポツリポツリと話しだした。故郷のこと、そこにいる妹のような子のこと、彼女を養うにはどうしてもお金がいること、そしてそのために、盗賊をやっていること。
 余計な
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