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フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
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Thief and Assassin
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たい事を聞いてみた。
「オールド・オスマンからお聞きしました。貴方、昔没落した貴族だったそうですね。」
「(ギクッ)え、ええ、まあ、そんなところです。」
「実は・・・私もなんです。」
「!ほう・・・。」
没落貴族って名前を出した瞬間、何故か取り乱した。まあ没落だなんて言われて良いモンじゃないからね、そういう反応もあるだろう。
こっちのことを明かしたら、少なからず興味を持ったようだ。
「その、無礼を承知でお聞きするのですが・・・その、貴族の身分を取り上げられた時、どう思いましたか?」
「え、え〜と、まあ特に何とも・・・。」
その言葉は少し不服だった。何も思わないってことはないだろうに・・・。
「本当に何も思わなかったのですか?悔しかったり、他の貴族を恨んだり、とか・・・?」
「・・・・・。」
質問をしているようで、私はどこかでこれに賛同して欲しかったのかもしれない。同じ境遇の人間なら、そう思っているはず、とどこかで安心感を得たかったのかもしれない。
だから、目の前の彼がどんどん冷めた目になっていくのに焦りを感じていた。
「・・・そんなことをして何になるんでしょうね。」
「え・・・」
不意に、彼がポツリと呟いた。
「アンタ、そんな思いをしてまで何で生きたいんです?」
「っ!」
その言葉にカッとなった。少しでも同じ境遇に立っていると思った私がバカだった。同じ没落貴族でもその思いは全く別物だ!
「貴方には分からないでしょうね、貴族の名を取り上げられただけで皆の見る目が変わる様を。剥奪されても拾ってもらった身の貴方には!そんなことして何になる?確かにそうよ!そんなこと思っても何の意味もない!でもそう思わなきゃやっていられないのよ!」
貴族を剥奪されたのは後悔していない!あの娘を守るためだったら貴族なんて身分なんていらない!
でも、憎かった!己の利益ばかり考えている奴らが!そしてそのために私から貴族の身分を取り上げた奴らが!
悔しかった、妬ましかった、それが誰の得にもならないことだって分かっている!
それでも・・・私は・・・!!
「私はそれでも生きなきゃいけない理由があるの!そういうアンタだって、一体何のために生きてるっていうの!?」
失礼します、と言って立ち去る。
私が怒りをぶちまけている間も、彼は何も言い返さずずっとつまらなそうな目をしているだけだった。
最悪の気分だ。勝手に裏切られたと思い込んでいるのは分かっている。でも、あんな奴に自分を否定されたような気がして腹が立つ。あんな奴に生きることを諭されるのが腹が立つ。
何よりあんな奴に言い負かされたような自分に腹が立つ!!
「・・
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