九十三 再会
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ば、もしナルトが大蛇丸の部下だった場合、『木ノ葉崩し』は成功していたという事。今猶、火の国、そして木ノ葉隠れの里が壊滅せずに在る事自体が証拠なのだ。
(冗談のつもりか?)
とても冗談など言わなさそうな多由也に対し、そう問い掛けてしまいたくなるほどシカマルは狼狽した。
だがそんな皮肉めいた質問は、舌の上で凍りついたまま、やがて喉奥へと吸い込まれてしまう。ちらり、と盗み見たナルトの姿に完全に呑まれてしまったからだ。
多由也の言葉を間近で聞いても、ナルトは穏やかに微笑んだだけだった。
それこそが答えなのだと、瞬時に気づいたシカマルは戦慄を覚えた。
肯定も否定もしない。それはつまり、本当に里を、国一つを滅ぼす事が可能だという事実。
(地形そのものを変えるどころか、地図上から国そのものを消してしまうのか…)
空恐ろしい心地を覚えるシカマルに、多由也がトドメの一撃を投げた。
「全てはナルトの采配次第だっての、解んねえのか」
「そろそろ本題に入ろうか」
多由也の話が終わるのを見て取って、ナルトが静かに口を開いた。それだけでその場は水を打ったような静けさに包まれる。
静寂の中、やはり変わらぬ穏やかな笑みを湛えたまま、ナルトはシカマルに告げた。
「奈良シカマル。君はこの任務にて不審に思った件全てに目を瞑って欲しい。その代わり、」
シカマル否、五代目火影たる綱手が最も秘密にしている機密事項。
現在シカマルのみが知らされる、サスケを連れ戻す任務本来の目的。
その内容をあっさり、それでいて重々しくナルトは切り出した。
朗らかな笑みと共に。
「全面的に手助けしよう―――うちはサスケの隠密活動を」
「やっっっと追いついたぞ…ッ、」
肩で大きく息をする。
国境。
『終末の谷』と呼ばれる其処は、最強と謳われた忍びの像がある。
千住柱間とうちはマダラ。
折しも木ノ葉隠れの里創立の立役者たる二人の闘った場所で、波風ナルはうちはサスケに追いついた。
一番最初の闘いで次郎坊に勝った彼女はその足でサスケを追い駆けたのだ。
しかもその際、偶然にも多由也と同じ経路を使った為に、君麻呂達を追っていたシカマル達よりも先に、国境へ辿り着いたのである。
「サスケぇ!!」
仲間でありライバルであり、親友でありたいと願っている存在の名を呼ぶ。
己が踏み締める千住柱間の像の真正面。うちはマダラの像の頭上へ、ナルは鋭い視線を投げた。
てっきりサスケ一人かと思っていたのだが、其処には二人いた。
「あ…、」
赤い髪によく映える紫紺のバンダナ。左目の下の印象
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