九十三 再会
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。隣にすぐさま駆け寄って来た彼女に、ナルトは苦笑を返した。
「勝手な行動はあまり感心しないな」
少しばかり尖った声。
微かに皮肉の色合いを帯びた笑みを受けて、多由也の肩がびくりと大きく跳ねた。怯えの色が雑じる覚束ない表情でナルトの顔色を窺う。
自分と対峙していた時はあれだけ辛辣な毒舌を振るっていた彼女の変わり様に、シカマルは眼を瞬かせた。
固唾を飲んで見守るシカマルの視線の先で、ナルトが静かにその蒼い双眸を閉ざす。だがその口許にはやはり微苦笑が湛えられていた。
「おかげで急遽、策を講ずる羽目になったよ」
注目を浴びている張本人は、何所吹く風といった風情で落ち着いている。
午後の穏やかな木漏れ日を浴びるその容姿は、一枚の絵画の如き鮮麗なものだった。多由也もシカマルも、一瞬その光景に見惚れてしまうほどの。
ハッと我に返ったシカマルがようやく口火を切る。ナルトに向けての質問は、しかしながら、いつもの彼に似合わず、慎重さを欠いたものだった。
何故ならばナルトを前にすると誰もが平静を保てず、何もかも包み隠さず打ち明けてしまいたくなるのだ。
真意を探ろうとすればするほど、逆にこちらの秘密が暴かれる。
例え殺気を放ったとしても、その殺気ごと音も無く吸い込んでしまい、逆にナルトの得体の知れない存在に呑み込まれてしまうだろう。だからこそ、下手に手出しは出来ない。
「………中忍試験、アンタは音忍として参加していた。今回のサスケの件、大蛇丸に従っての行動なら、うずまきナルトお前は…、」
「バッカじゃねぇのか、このクソヤロー!だったら『木ノ葉崩し』が失敗に終わるわけねぇだろッ!!」
唐突に詰問を遮った多由也が身を乗り出す。
ナルトが大蛇丸の手の者だ、と決めてかかるシカマルを彼女は憎々しげに睨みつける。その表情は不安げな様子から一転し、憤怒の形相だ。
しかしながらナルトが一瞥すれば、多由也は決まりが悪そうに口を噤んだ。
「俺は誰の味方でもないよ、シカマル」
底知れぬ蒼い双眸。深海の如き静かな眼差しを受け、シカマルは説明のつかぬ奇妙な無力感に見舞われた。全てを見透かされるような錯覚に陥り、無意識に身体が強張る。
一刻も早くナルトの視線から逃れたかった。
「…お前の眼は節穴か?ウチらを追い駆けて来たのは何処からだ?」
押し黙ったシカマルを猶も睨み据え、それでも幾分か落ち着いた風情で多由也が傲慢にも口を挟む。
ナルトを気に掛けながらの発言だったが、その口調は絶対揺るがぬ自信のほどがあった。
「木ノ葉が、そして火の国が現存している事実が何よりの証だ」
確固とした響き。
多由也の絶対的な確信を伴った発言は、シカマルの優秀な頭脳を一瞬で凍りつかせた。
彼女の意見によれ
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