第四話 誘惑と驚愕 その三
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ミセス・シュヴルーズの講義の後、教室を退出したアーチャーは、ルイズからありがたい説教を頂戴していた。
「あんた、何のつもりよ!?先生に喧嘩を吹っ掛けるような真似をして!」
「私はただ、疑問に思った事を質問しただけなのだかね。どうにもプライドが高かったらしいな、ミセスは」
肩を竦めるアーチャー。
その全く反省の色が見えない態度に、ルイズは、
「あんたねぇ……?確かに、あんたはあのギーシュ相手とはいえメイジを圧倒しちゃうし、言葉だってすぐに覚えちゃうし、その上先生を相手取って話もできるかもしれない。でも、それとこれとは話が別!……私は貴族。あなたは使い魔。だったら、あたしの恥になったり不利益になるようなことはしないでよ!」
ぜえはぁと、息を切らすルイズ。
ルイズの怒号を正面から受けたアーチャーは、ふと皮肉気な表情を引っこめると、
「……マスター。いや、ルイズ。君は今、自身の不利益になるようなことはするな、と言ったな」
そして、ルイズの目の高さまで膝を折ったアーチャーは、
「今さっき講義を間接的に受けてきて、確信した。君たちは、魔法を絶対的な尺度と目標としているようだが、それは間違っている」
「な!?」
「魔法とは、さっき私が言った通り、手段の一つでしかない。火なんてものは、魔法がなくても幾らでも起こせる。魔法で出来ることは、そのほかの手段でも十分に再現が可能だ。であれば、わざわざ回り道をする必要はない」
信じられないことに、現代魔法史そのものに対する、アンチテーゼを謳う。
「だから、力を、過信するな。凝り固まるな。力に手段を囚われ、自分の目的とその原動力を、見失うな。それは、自分を狭め、後に自分の首を絞める」
実感の籠った声で、一言一言を呪文のようにルイズに伝える、アーチャー。
そう、先程の授業。あの場で、わざわざ発言したのは、その為だった。
この世界の魔法は、手段であり、目的ではない。それは、昨日ルイズ自身が、ハルケギニアの歴史が教えてくれた。
自分のいた世界の魔法と、こちらの世界の魔法は絶対的に異なる。
だから、教育者たるあの魔女が、間違った意をルイズと、ひいては生徒たちに伝え、それを吸収した彼らが、洗脳されてしまうのを危惧した。
自分が何かをなしたい、と強く願った時。自分が狭く、小さいままであったなら、出される手段と答えは、それに比例してしまう。
自分はもう後悔はしていないが、せめてそのことを理解していたならば。違った結末もあったかもしれない、とアーチャーは思ったのだった。
だから、自分らしくないと自覚しながらも、これは度の過ぎた世話である。この空間は、そういった意見を打ち出す場ではない。それらも解って
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ