第四話 誘惑と驚愕 その二
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でも、大軍を一瞬で消滅させたり、座標移動を可能とする、などという文献がお伽噺という状態で残っており、メイジにとっては神の御業として扱われている。
「そして、私の系統でもある『土』これは、四系統のなかで、最も重要なポジションを占めていると、私は考えています。何故なら、土の魔法がなければ、重要な金属を生み出すこともできませんし、加工することもできません。大きな石を切り出して、建物を作ることも、また作物を収穫するのも、今よりもっと手間取ることでしょう。理解できましたでしょうか?このように、土系統の魔法は皆さんの生活と密接に関わっているのです」
そう言って、重々しく咳をしたシュヴルーズ。
その顔はどことなく得意げであった。
だが、
「すまない。発言よろしいだろうか、ミセス・シュヴルーズ」
その声を上げたのは、使い魔の席でじっと授業を聞いて自身の知識との齟齬がないかを探していたアーチャーだった。
「……あなたは確か、ミス・ヴァリエールの」
「これは失礼。名乗っていませんでしたな、マダム。ルイズの使い魔こと、アーチャー。以後お見知りおきを」
やけに芝居がかった所作で一礼したアーチャー。
それを見ていたルイズは、顔を真っ青にして立ち上がる。
「も、もも申し訳ございません、ミセス・シュヴルーズ!あの使い魔には、あとでお仕置きを……?」
必死に弁解するルイズを、微笑みで制したシュヴルーズは、特に気に障った様子もなかった。
それどころか、嬉々として、アーチャーに発言を促した。
「いいのです、使い魔に質問される、何て珍事は、一生に一回、あるかないかですわ。貴重な参考人として、アーチャーさんには発言を許可しましょう」
「ありがたき幸せ。それでは、僭越ながら……土系統が魔法の中心である、というような発言について、些か疑問に思いましてね」
「それは、何故ですか?」
「前述の通り、確かに土の魔法は偉大であり、人々の生活に深く根付いている。これは確かです。ですが……」
「ですが、なんでしょうか?」
「土系統の魔法で出来ることは、場合によっては他系統でも十分補うことが可能である、ということです」
アーチャーの発言に、教室中がざわついた。
それもそうだ。メイジの使い魔とはいえ、一平民が、魔法学院の講師に反駁しているのだから。
教室のざわめきを無視し、アーチャーは語る。
「ミセス言った例通りに挙げていきますと、まずは貴金属、こちらは別に錬金に頼らなくとも、火属性の魔法と、不純物を取り除く炉があれば、特に問題なく精製できます。次に、加工ですが、こちらは水属性の水を高圧で放つことにより、切断ができ、後は研磨すれば十分に使い物になるはず。大岩の加
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