第四話 誘惑と驚愕 その二
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ありがとう。感謝する」
「い、いえ……その、私、お仕事がありますから!」
アーチャーが止め(再三言うようだが、アーチャーに自覚はない)とばかりに正面から真っすぐに感謝の意を伝えると、少女は逃げるように棟内に戻っていった。
時間は経ち、人々が朝食を取りに食堂へ向かう道中。
「ねえ、私、いつの間に着替えたんだっけ?」
「私はマスターの指示に従ったまでだ」
昨日と全く同じやり取りをしながら、二人は食堂へ向かっていた。
だが、昨日と違い、彼らに向けられる視線は様々だった。原因は、言わずもがな。
あれのせいで、視線はルイズではなく、アーチャーへのものが殆どだった。
種類は、感心、羨望といった好意的なものもあれば、嫉妬、畏怖、恐怖、のような負の視線も多く感じられた。
が、それを敢えて無視し、二人は歩く。
遠目で見ているものの、二人に表立ってなにかしようという者は、この場にはいなかった。
ただ一人を除いて。
「おはよう。ルイズ」
小麦色の肌に、赤い髪。年齢不相応の妖艶な体つきの少女、キュルケが挨拶をした。
その顔を見たルイズは、嫌そうに眉を少しだけ動かしたが、礼を失することなく、挨拶を返した。
「おはよう。キュルケ」
かなり投げやりな挨拶にはなってたが。
それを気にした様子もなく、キュルケはルイズの三歩後ろを歩く、アーチャーにも挨拶をした。
「おはよう。アーチャー」
「ああ、おはよう」
それに応え、アーチャーも挨拶を返す。
「昨日の決闘、とってもかっこよかったわ。思わず、この身が炎で焼けてしまうかもしれないぐらいに」
火照った体を見せつけるかのように、アーチャーでこれでもかとばかりにモーションをかけるキュルケ。
それを見たルイズは、我慢ならないとばかりにキュルケに怒号を飛ばした。
「ちょっとキュルケ!コイツは私の使い魔なのよ!誰の許可を得てちょっかいかけてるのよ!?」
「強いて言えば、私自身の許可かしら♪」
「ふざけないで!」
「何よ、私は大まじめよ?こと、色恋のに対しては、ね」
バチバチと、視線で火花を散らす二人。
はたから見れば、一人の男を取り合う二人の女の図というわかりやすい構図なのだが、ことアーチャーはその凄まじいまでの鈍感スキルを用いて、その争いに介入した。
「二人とも、何を争っているかはしらんが、ここは往来の真ん中だ。やるなら、道の端によるのが―――」
「あんたのせいでこうなってるのに、何様のつもり!?」
「ああ、ダーリン。そんな空気を読めないところも素敵だわぁ」
介入したはいいが、ルイ
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