第四話 誘惑と驚愕 その一
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(やめよう……私の悪い癖だな、これは)
答えの出ない問題を、判断材料も手がかりもないのにしてしまう、という癖。
案外、これは自分の根の深い部分から来ているものなのかもしれない。
(さて、庭には誰もいない……)
持ち前の視力の良さでもって、庭を見渡したアーチャーは、人影がないのを確認し、庭へ降り立った。
何をするのかと言えば、それは、
「――――投影、開始」
――――創造理念、鑑定――――
――――基本骨子、想定――――
――――仮定完了。投影、開始――――
小さく呟いた彼の両手には、既に陰と陽を具現化したかのような中華双剣の宝具、干将・莫耶が握られていた。
宝具。それは、人の幻想を骨子に作り上げられた武装。
それは、それこそ彼が今持っているような剣のような形状でもあれば、盾、布、鞘、実体のない能力そのもの、なんてものまで存在する。
そして、それら全ての共通点といえば、人智を超えた奇跡を、この世に具現化する。
いわば宝具とは、奇跡を具現化した武装なのである。
(……宝具の投影。成功したか。外見も中身も、問題はない。……実験は成功か)
己の投影品である、その双剣、いやその成り立ちから夫婦剣と呼んだ方が正しいだろう。それを魔術的な観点と、肉眼からの評価を付ける。
昨日、とある貴族との戦闘と呼ぶのもおこがましい行為のなか、通常の剣は投影に成功した。
だが、前記の通り、通常兵器と宝具では、どんなに低級なものでも、石ころと、金塊ぐらいの価値の差があり、また投影への負担も段違いだった。
なので、目撃者の誰もいないこの時間を狙い、アーチャーは実験を行った。
この十分な面積のある庭なら、仮に暴走しても、結界から溢れた剣によるが、被害は最低限で済むからだ。
実験の第一段階は成功した。
次は、
(ルーンの発動は……していないか。昨日の状況から鑑みるに、発動の条件は剣を握ることだと推理していたのだが……)
自身に刻まれた、謎らだらけのルーン。
現状で推測されている効果は、ぜんぶで三つ。
一つ、言語についての補助
二つ、肉体の獲得
三つ、固有結界の変質と、戦闘時の身体能力の底上げ
内三つめの効果は、発動した状況が戦闘時、しかも投影後に剣を握った瞬間であった為、剣を握るという行為がトリガーであると確信していたのだが、結果は否。
(まあ、いい。比較的負担の軽い宝具だが、投影が成功した、というこの結果は大きい)
正直、あのセイバー並の五感とバーサーカー並みの膂力は喉から手が出るほど欲しいものだったが、無い物をねだっても仕方ない。
そして、アーチャーはその他
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