第三話 決闘と放蕩 その3
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い答えに拘泥するのをやめ、アーチャーは、停まった世界を歩み出した。
最も、アーチャー以外の人間には、アーチャーが剣を取ってから、姿が霞んだ程度にしか確認することが出来なかったが。
そんな事は露も知らず、アーチャーは、城壁側からこちらへ来ていたワルキューレの一体に狙いを定め、
「ふんッ!」
敢えて技術も何も使わず、棒切れを叩きつけるかのように上から下へ、銅剣を振るった。
すると、
――――ガッ!
音を立て、粉砕されるワルキューレ。
だが、それだけでは終わらない。
その破片は、後方の城壁まで吹き飛び、に大穴を空け、宙の彼方へと、吹き飛んでいった。
「……パワーは、ヘラクレス並みか…」
もはや、呆れ顔でそれを見送るアーチャー。
このぶんでは、ワルキューレを剣で地面に叩き付ければ、普通に地中深くに陥没してゆくことだろう。
「幸い、時間はたっぷりとあるようだからな……加減を試してみるか」
そう呟き、未だに停止して(アーチャーにはそう見える)いるワルキューレの下へ向かい、
力の加減を学ぶ。
頭を軽く、コツンと剣で叩こうとすれば、地面にクレーターを作成し、柄で突けば空洞ができる。
「あのヘラクレスは、一体どうやって力のコントロールをしていたんだ…?」
結論から言うと、無理だった。
どんなに優しく接触しようとしても、ワルキューレは砕けるか、宙の彼方へ吹っ飛んで行ってしまう。
「十分か…」
呟くと、一旦剣を、地面に突き刺し、手を離した。
すると、
「お、おい、お前、今の見えたか!?」
「見えるわけないって?なんか姿が霞んで、ワルキューレが一斉に粉砕されてるようにしか……?」
五感が元に戻り、世界は息を吹き返した。
(つまりは、これが剣トリガーというわけか)
地面に突き刺した剣を眺め、この現象を発生させるのは、剣を握ることであると、自身の脳に書き記した。
そして、目の前で、造花を振りかざしたままの恰好で硬直しているギーシュに、悠々と歩み寄り、その頭を片手で持ち上げる。
「ひ……?やめろ!下ろせ!」
「……君は、立場が解っているのかね?」
持ち上げた掌に、少しばかりの力を加える。
「あ、あがが?参った!僕の負けだ?降参だ?」
「解ればいい」
どさ、とギーシュが地面に落下する。
その瞬間、まるで悲鳴のように、観客が歓喜に沸いた。
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