第三話 決闘と放蕩 その3
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
チャーの憐憫の眼差しであった。
プライドを刺激されたギーシュは、造花をアーチャーに振りかざし、ゴーレムに指令を飛ばす。
「ッ!やれ!ワルキューレ?」
ザッ!とゴーレムは地を蹴り加速。常人には目で追えぬ速度まで達したワルキューレは、その鋭い拳を、
―――バゴッ!
アーチャーの鳩尾に叩き付けた。
「な、何だ!やはり口先だけか、このへいみ……」
言いかけたギーシュは、絶句した。
何故なら、
「まさか、本当にこれが、武器だとでも……?」
人体の急所、鳩尾を殴りつけられながら、表情一つ変えることなく佇む、アーチャーの姿があった。
「な、なんだと……!?い、いや、大方その服の下に鉄板でも仕込んでいるんだな?」
「そう思いたければ、そう思えばいいのではないかね?そもそも、仮にだが、戦闘中に自らの考えを相手に晒すのは、どうかと思うぞ?」
心底呆れた、と言わんばかりの表情。
そして、その表情から何一つ変えることなく、アーチャーは己の鳩尾に添えられた拳を左腕で掴むと、
―――バギャンッ?
という、金属が工場で加工されることでしか、聞いたことのない音を立てながら、ワルキューレの腕を握り砕いた。
「……う、嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ?」
「―――よもや、終わりなどという事はあるまい?」
「あ、ああ、当たり前だ!メイジが、平民に負けるなど、そんな事、あってはならないんだ?」
吠えたギーシュは、狂ったかのように造花を振り回す。
すると、今までと同じワルキューレが、七体まで増え、先程欠損したワルキューレも、腕を直し、さらに直された腕には、同じく青銅でできているであろう、剣が握られていた。
剣。そう、剣だ。
アーチャーは、それを視認し、己内部で解析する。
(何だこの剣は……基本骨子は穴だらけ。構成材質は青銅のなりそこない……こんなもの、剣の形をした粘土ではないか……これが、メイジとやらの実力なのか……?だとすれば、期待外れもいいところだ)
そんな思考の中でも、ワルキューレはアーチャーに迫る。
が、
(数が増えたことで、一体一体の動きが雑になっている。スピードも剣の鋭さも、なっちゃいない……)
正面の唐竹を右斜め後方に一歩踏んで躱す。
後方から振るわれる剣、その剣を振るう腕を後方回し蹴りで砕く。
右側から来た突きをいなし、胴体を肘で叩き割る。
躱し、逸らし、いなし、その後にカウンター。
この流れは、まるで川から海へ流れる水のように不変であった。
やられてはギーシュが修復し、それをアーチャーが砕く。
「……もうギブアップか?」
「はぁ、はぁ、そんな、っく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ