第三話 決闘と放蕩 その2
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、親切心からギーシュの卓に落し物である、その小壜をおいた。
「落し物だぞ?色男」
ギーシュはそれを苦々しげに、アーチャーを見つめると、その小壜を卓の隅へと押しやった。
「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」
その小壜に気づいた友人たちが、先程以上の声量で騒ぎ始めた。
「おお?その香水はもしや、モンモランシーの香水じゃないのか?」
「そうだ!その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分の為だけに調合している香水だぞ!」
「そいつがギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモランシーと付き合ってる。そうだな?」
「違う。いいかい?彼女の名誉の為に言っておくが……」
と、ギーシュが何か言いかけたその時、後ろのテーブルに座っていた少女が立ち上がり、こちらにコツコツと歩み寄って来た。
髪は栗色の長髪で、中々に可愛げのある少女だ。
顔立ちは彼らよりは幾分か幼く、またマントの色も違うため、一年生の後輩といったところだろうか。
だが、二年生は使い魔とのコミュニケーションで休講という事が既知だったが、この一年生は授業に出なくてよいのだろうか?
「ギーシュ様…私、今日は先生がお休みで、午前は講義がなかったんです。だから、その分ギーシュ様と一緒にいられると……」
なるほど、とアーチャーが納得する前に、少女はボロボロと泣き出してしまう。
「やはり、ミス・モンモランシーと……」
「彼らは誤解しているんだ。ケティ。いいかい、僕の心に住んでいるのは、君だけ……」
しかし、ギーシュの渾身の言い訳のかいもなく、ギーシュはパンッと心地のいい破裂音を伴い、ケティと呼ばれた少女に、その手形がはっきりと分かるほど強く頬を叩かれた。
「その香水があなたのポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ!さようなら!」
涙を拭い、肩をいからせ去ってゆく少女。
すると今度は、少しばかり離れた席から、金髪を縦巻きにした少女がこれまたカツカツとギーシュに歩み寄ってきた。金髪縦巻き、とアーチャーはある気位の高い同じく貴族の少女を追憶。密かに眉をひそめた。
(なんだろうか、この世界は。実は私の記憶を頼りに再構成されているのではないだろうな?)
そしてモンモランシーは、アーチャーにとって見覚えのあるいかめしい目つきで静かに言った。
「やっぱり、あの一年生に手を出していたのね……」
「お願いだよ。『香水』のモンモランシー。咲き誇る薔薇のようなその顔を、そのような怒りでゆがませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」
良く回る舌だ、とアーチャーはギーシュに感心したが、モンモランシ
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