第三話 決闘と放蕩 その1
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「ん…んふぁあああ……ああ、使い魔の……着替え……」
「こちらに」
寝ぼけ眼をこすりながら伸びをするルイズに、アーチャーはあらかじめ用意してあった着替え一式を差し出した。
「着替えさせて……」
「了解した」
そして、
「ねえ、私いつの間に準備を終えたの?」
「さあ、私はマスターの命に従っただけだ」
眠気が醒めないうちに、気づけば身だしなみを整え終えて、いつものプリーツスカートにブラウス、黒の外套と、学生服姿でいたルイズは、疑問符を頭に浮かべた表情をしていたが、やがて「まあ、いっか」と適当に納得し、何の気もなしに、常に自身の三歩後ろを歩くアーチャーに、目を向けた。
その恰好は、いつの間に着替えたのか、召喚してすぐに見た、黒い衣服と赤い外套というあの格好だった。
その足取りによどみはなく、背筋も芯を入れたかのごとくピンと伸びていた。
(まるで、家の執事と一緒にいるみたい……)
その立ち振る舞いに、昨夜のぶっきらぼうな中に、笑顔を浮かべるあの人間と同じとは到底思えなかった。
そんなこんなで、食堂にたどり着き、席に座ろうとすれば、自然とアーチャーは椅子を引いた。
そして、手馴れた様子で膝にかける。
「きたわよ…噂のハリネズミ男」
「聞いたわ。なんでも、契約の儀が完了した直後に、ゼロのルイズに召喚されたショックで、体から剣を生やしたって……」
ひそひそ、がやがやと、自分たちに向けられる、興味と侮蔑、嘲笑を伴ったBGMが、食堂内に広がってゆく。
だが、アーチャーは気にした様子もなく、後ろに佇んでいた。
そして、自身は床に置かれた食器とパンを確認すると、
「これは、私の分かね?」
「ええそうよ。普通貴族でもないあんたが、このアルヴィーズ食堂にいられること自体、私の計らいのおかげなんだから」
「そうか、それは苦労を掛けたな」
文句ひとつこぼすこともなく、足元に置かれたパンを一つ手にすると、手でちぎって食べ始める。
何か、調子が狂うと、ルイズは外界の声をシャットアウトしつつ、朝食を終えた。
朝食を終えると、その足のまま、学院の庭に下り立ち、そして、溜息を吐いた。
「はあ……なんで、皆はあんなに立派な使い魔を召喚したのに…」
なんで私はこんなのなのよ……と顔に書いたようにアーチャーに目線を向ける。
が、彼は自分のことなど目にもくれず、周囲の使い魔たちと、その主人たる学院生を興味深そうに観察していた。
そして、疑問を持ったのか、こちらに向き直り、
「ルイズ、この学院では授業はないのか?」
「あるわよ。でも、今日はお休み。二年生は召喚したばかりの使い魔とコミュニケーション
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