第三話 決闘と放蕩 その1
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「さて…契約も済んだところで……少々、こちらの質問に答えてもらっても良いだろうか、マスター?」
二度目の主従をルイズと交わし、大分ルイズも落ち着いてきたことで、アーチャーはルイズに質疑応答を求めた。
「早めに終わらせてくれる?」
「ああ、勿論だとも。学生の本分である学業に支障をきたすほど、私の夜更かしに付き合わせるつもりは毛頭ないさ」
「そう、じゃあいいわ。使い魔の疑問に答えてあげるのも、立派な主人の務めよね」
本人的には鷹揚に頷いているつもりなのだろうが、身長差がアーチャーと三十は違うため、アーチャーに笑いを誘う。
が、ここで話の腰を折っては、流石にどうかと自制心を駆使し、初めの質問を繰り出した。
「まず初めに、ここは、なんという国だ?」
「ハルケギニア大陸のトリステイン王国よ」
(なるほど、知らん)
この時点で、アーチャーはこの世界が、自分のいた世界のとは全く異なる平行世界であると確信した。
先の二つの月を見た時点からほぼほぼ確定していたことではあるが、現地人の証言と言うのはどの世界と地域でも貴重な情報源となる。それが、虚構だったとしても、その吐いた嘘からも自身の特徴と、性格が出る為どちらにしろ話は聴くに限る。
「では、先程の会話の中で、貴族という単語が出たが、それはどういう人々を指す?」
「あんたそれ、本気で言ってるの?」
心底常識を疑うような、そんな声音と表情で、ルイズは訊き返した。
「ああ、どうやら記憶が混乱しているようでね。はっきり言うが、社会常識という見地で見れば、そこらにいる幼児にも及ばないと自負している」
アーチャーが記憶喪失だというのは、勿論嘘だ。
別に、ルイズを騙してどうこうする、という事ではなく、自身に刻まれたルーン然り、この世界にも魔術が存在する。
それも、こちらとは全く別体系である。というかそもそも、こちらの見地でこれを魔術と言う他に定義が出来なかったのだ。厳密にはあれは化学でも、魔術でもない別の何か、といった方が正しいのだろう。
よって、こちらの技術が他方に露見すれば、面倒事に巻き込まれるのは火を見るよりも明らかだ。
そもそも、こちらの言語が通じていること自体、理解不能の事態なのだ。分かっているフリは絶対にぼろが出る。
であれば、だ。
今ルイズが心底呆れた、というのを通り越し、逆に憐れんだような目を向けられるのが、計算通りなのである。
「わかったわ。じゃあ、本当に生きていく上で、基本的なことを教えてあげる。面倒だし、一度しか言わないから、聞き逃したら知らないわよ」
そして、ルイズは語った。
曰く、貴族とはメイジであることが前提条件である。
曰く、メイジとは、魔法(魔術で言
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