第二話 二つの月と、二度目の契約
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の方がよっぽど重症でしょ!?さっさとベッドに戻って寝てなさいよね!?」
こちらを案じているのはわかるのだが、些か語勢が強いな、とまたもやかの赤い少女との重なりを発見したアーチャーは、意図せずして、声を漏らしてしまう。
「ふふ」
「何笑ってんのよ!笑い事じゃないでしょ、体中から剣が飛び出てて、治しても治しても、折っても折っても生えてくるし!!本当に大変だったんだから!!わかってるの!?」
「いや、失礼。君が、私のかつての知人とよく似ていたものでね。決して、君の心配を無下になどしたわけではないんだ」
「き、君って!貴族の私に向かって、そんな口きいて?しかも、こともあろうに、ご主人様である私に向かって……?」
顔を真っ赤にした少女は、だがやがて、しゅんと小さくなり、俯いてしまった。
あまりの感情の温度差に、今度はアーチャーは怪訝な表情になり、少女に尋ねる。
「どうか、したのかね」
「そ、その……私のせいで、ごめんなさいっ?」
すると、顔を上げた少女は、瞳を涙で潤ませ、唐突に謝罪した。
一体何の話だ、と一瞬アーチャーは首をかしげそうになったが、思い当たる節を見つけ、少女に正か否かを問うた。
「それは、君が私に口づけをしたことで、私の体から剣が生えてきたことを言っているのか?」
「……?」
こくこく、と首を縦に振る少女。
「それは、私にわざとそうさせる為にやったのか?」
「……?違う、違うわ!始祖ブリミルに誓ったって構わない?私、そんなつもりじゃなかったっ!」
ふるふる、と今度は首を横に降り、必死に否定の意を唱える。
そして、どうしてそうなったのか。
自身の境遇について、生まれた家について。
サモンサーヴァントの儀と、使い魔に関して。
それを聞き終えると、アーチャーは、少し眉間にしわを寄せると、一旦少女から離れ、窓に掛けられたカーテンをシャーと、大きく開け放つ。
そこには、夜の大地を柔らかな光で照らし続ける、二つの大きな月があった。
それを、アーチャーは常時柔らかな笑顔で受け止め、最後まで何も言わず、聴きとめた。
そして、
「やはり、君は私によく似ている……」
「え……?」
「いや、こちらの話だ。気にしなくていい。……そういえば、名前を聞いていなかったな。……女、名前をなんという?」
振り返り、柔らかな二つの月の光と、夜の闇を背に、アーチャーは、問いかける。口調に反した、柔らかな微笑みを浮かべながら。
場所は土蔵でも、ましてや館の一室でもなかったが、
「あ、え、えと、ええと。そう、私の名前は、誇り高き公爵家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、ルイズよ
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