旅立ち。決意。そして、召喚。
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が、既に身体の大半を魔法陣に呑まれ――――
ところ変わって、ハルケギニア大陸の、王立トリステイン魔法学院。
メイジと呼ばれる、所謂魔法使いの養成学校である。
石造りの荘厳な容貌と、歴史を感じさせるその佇まいの校舎、そして青々と芝生が茂るその庭に、二年生に進級した生徒の全員が集められ、教師が口を開くのを今か今かと待ちわびていた。
そして、
「いよいよ今日は、召喚の儀子であります。これは、二年生に進級した君たちの、最初の試験でもあり、貴族として、一生を共にする使い魔を召喚する神聖な日でもあります―――」
頭頂部を刈り上げ、眼鏡をかけた中年の教師が、生徒たちが心待ちにしていた言葉を発した。
その言葉を聞いた生徒たちは、そわそわと、そしてわくわくと、心を踊らせていた。
そんな中、ピンクの髪と勝ち気な瞳をたたえた小柄な少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。ルイズは、緊張と後悔の入り混じった心境で、場を見つめていた。
すると、
「楽しみだわ〜あなたがどんなにすごい使い魔を呼び出すか♪」
赤い髪と小麦色の肌を持つ少女とは思えない妖艶な体つきをした少女、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。キュルケは、挑発的に、かつ嫌みったらしくルイズの耳元でささやいた。
ルイズは、学院で魔法を学びはしているものの、基本的な魔法以外、成功した魔法は未だ、ゼロ。
ただ不発なだけであれば、そこまで揶揄されるいわれはないのだが、発動した魔法が全て爆発してしまうので、他の生徒にはやっかみと皮肉を込めて、『ゼロのルイズ』などと不名誉な二つ名を頂戴している。
そして、昨日そんな二つ名で罵られ、ついカッとなり、きってしまったのだ。
「私、召喚魔法、サモンサーヴァントだけは自信があるの!!」
などという啖呵を。
だがしかし、いけすかないツェルプストー家の女の前で、惨めな格好だけは見せられないと、ルイズは虚勢を張った。
「ほっといて」
その後、順調に儀式は進み、ついにルイズの番と相成った。
「ゼロのルイズかよ」
「何呼び出すんだ?」
「馬鹿、どうせ爆発して終わりに決まってるだろ」
ヒソヒソ、ザワザワと、自身の陰口を堂々と叩かれるルイズ。
だが、憮然とした態度で、ルイズは準備を進める。
「大見得切った以上、この子より凄いのを召喚できるのよね?」
先に召喚し、火蜥蜴という大戦果をあげたキュルケが、皮肉っぽく言った。
「当然でしょ……!」
言葉では虚勢ははれても、心まではそうはいかず、杖を持つ手が震え、緊張で頬が強張る。
(お願い…!!)
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