旅立ち。決意。そして、召喚。
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奇妙であり、慣れてしまった感覚が抜け、座が、見えてくる。
無限に続く荒野に、いくつもの刀剣が身体を預け、空には無数の歯車が浮かんでいた。
アーチャーは、荒野の中、一部盛り上がった丘、その頂上にある岩に腰かけ、世界を見上げる。
その顔にいつもの悲壮、ましてや後悔などなく、どこまでも広がってゆく荒野とは対極に、彼の心は澄み渡っていた。
そして、いつくかの時が流れた。
それは、一瞬だったのかもしれない。いや、人が何十回と、生と死を繰り返したのかもわからない。
そんなとき、
「来たか……」
世界が、彼を呼んだ。否、彼に命じた。目の前の空間が風に揺れるカーテンのように歪み、彼を誘う。
そして彼は、前に進む決意を胸に、いつも通り、しかし、得た答えを胸に、腰を上げる。
だが、
「よぉ、英雄殿。どこかにお出かけかい?」
振り返った先に、ソレはいた。
「なんだ貴様……?」
まず目に飛び込んできたのは、むき出しになった黒色の上半身に所狭しと描かれた、刺青の数々である。
「俺が何者であるかなんて、そんなことはどうでもいいんだ。要は、あんたは今、言いなりになろうとしてる。この世界の、いいなりにな」
「何が言いたい?だから何だ。別に、同情などなら要らぬ世話だぞ?」
「そうじゃない。重要なのは、そこじゃあねぇ。お前が、世界にいいように使われて、世界がそれを当然だと思い込んでいるってことだ」
「だから、だから何だというのだ?用がなければ、私は行くぞ。待たせてるんだ」
言語は理解できるものの、全く話の通じていない男に、アーチャーは対話を諦め、次の世界へと飛ぼうと空間のゆがみへ一歩を踏み出した。
「まあ、そう焦んなって。要は――――」
だがしかし男は、それを是せず、アーチャーを、突き飛ばした。
否、突き飛ばそうとした。
「ッ!貴様何を!」
男の突進をサイドステップで躱すと、アーチャーは、彼に意図を尋ねる為、振り返ろうとしたが、
ズズズ……。
左腕に違和感を感じ、そちらを見ると、
「なんだこれは…!」
左腕が、青白く発行する魔法陣に、呑まれていた。
何とかそれを振り払おうとアーチャーはもがく。
だが、英霊の膂力を用いても、左腕は魔法陣から抜けるどころか、じわりじわりと、アーチャーの身体を呑み込んでゆく。
「まあ、あれだ、つまりはな。―――俺が世界を嫌っていて、その世界に意地悪をしたかったってワケだよ!」
ケラケラと笑う。
実に愉快にそうに。
まるで、嫌いな子のおもちゃを盗み、盗まれた子が慌てふためくのを眺める悪戯っ子のように。
何なんだ貴様は!を叫ぼうとする
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