2部分:第二章
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かった。ここではエリザのことはわからなかったがそれでもだ。このことを不審に思いだ。
彼のことをさらに調べだ。あまりにも不審な者であると断定したのだった。
「交友関係が少な過ぎる」
「それなのにヒッチハイクの女性にはやたらと声をかける」
「しかも」
これがだ。最も気になるところだった。
「一人行方不明になっているな」
「ああ、あいつと接触した旅行客の一人が」
「それが気になるな」
このことが警察の捜査網に引っ掛かったのだ。こうしてだった。
警察は彼に任意同行を求めてだ。話を聞いた、するとその返答は実に支離滅裂でよくわからないものだった。まさに精神異常者のそれだった。
「何を言っているのかわからない」
「全くだ」
これが警察の評価だった。つまり彼は精神異常者として放免されそうになったのだ。精神異常者ではどうしようもないと想われたのだ。しかしだった。
ふとだ。取調べを、彼の部屋も対象に入れたそれをしているうちにだ。警察も気付いたのだ。
壁からだ。見事なブロンドの髪の毛が出ていることにだ。気付いたのである。
壁から髪の毛が出ていたのだ。これは普通では有り得ないことだった。それを見てだ。
警官達は無言で、しかも強張った顔で頷き合いだ。そうして。
壁をハンマーで割りその中を調べにかかった。するとだ。
そこから無惨な白骨死体が出て来た。その死体から見事なブロンドの毛が生えていた。見事なのは髪だけでだ。その他は白骨化しており死体に慣れた者でないと見られないようなものだった。この死体が決め手になった。
マリオは逮捕され本格的に取り調べられることになった。その中で彼はこう言ったのである。
「奇麗な髪の毛。それを洗うだけで満足できるんだ」
こうだ。俯きけたけたと笑いながら言ったのである。彼は殺人罪に問われた。
だがこの発言をはじめとした一連の狂気そのものの言葉がだ。彼を精神異常者に認定させた。確かにそうとしか思えないことであった。
しかしこのことが結果として彼を死刑台からも刑務所からも救うことになった。彼は精神異常者として精神病院に入れられだ。そこに隔離されることになった。そしてその中でだ。
「奇麗、奇麗だ・・・・・・」
虚ろな目でぶつぶつと呟きながらだ。病室、要塞の様に隔離されたその中でだ。彼はエリザの髪の毛を撫で続けるのだった。それが今の彼である。彼は今も病院の中でそうしている。
洗髪屋 完
2011・7・16
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