第十七話:買物中の予想外
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離を取り、左に陣取ってついてくるマリスを見やると前へ向きなおした。
ソフトクリームはあの数秒で既に完食してしまったか、マリスの手元には三角柱状の紙しか無い。
楓子も追いついてくるまで自由に店内を見回っていたが、金が無いので買う事など出来る訳もなく、無理にでも持っていこうとすれば犯罪で捕まるとどういう目に遭うかを教えると、流石のマリスも興味を示すだけに止めて大人しくしていた。
それでも……と諦めきれず値段を鑑みて、ソフトクリームを頼んだこいつの意志を尊重―――というより余計な事に使う前に、残高が少なかろうと使いきってしまいたかったので、走ってきた楓子共々買い与えたと言う訳だ。
ちなみに金銭面と味覚面の負担から、言わずもがなだろうが俺は頼んでいない。
「さっさと降りて出るぞ。用事は終わった」
「……楓子は?」
「その内追いついてくる」
数メートル離れてもまだ際立って聞こえる、“何処かで聞いた事のある” 声で語られる戯言をシャットアウトして、一番近くのファンシーグッズコーナー傍にあるエスカレーター目指して歩き始めた。
ホビーエリアと別になっているだけあって、サイズの大小や素材も様々なヌイグルミに、パズルや積木などの簡素な玩具、果ては食器や時計と言った日用品まで、そのグッズの種別は多岐にわたっている。
今チラッと見えたぬいぐるみの値段……『税込一万円!』とか書いてあったな……何に使うかも分からない物が何故そこまで高いのか……?。
大体サイズが規格外なので、持ち運ぶだけでも一苦労だろう。
持つ者の体格によって異なるだろうが、しかしああ言った物を欲しがるのは愛好家か子供ぐらい。
愛好家ならまだいいが……この歳の子供は無理を言って持たせてもらおうとする事もしばしば。
だから持ち運ぼうにも、今し方耳に聞こえて来る “ズルズル” という音をたて、結局汚してしまうと言う―――
―――――いやちょっと待て。
引き摺る?
「マリス、何やってる」
「……コレが欲しい」
音の源へと視線を傾ければ、そこにいたのは殺戮の天使・マリス。
硬度を下げて、切断しない仕様へと変えた【鋼糸鏖陣】を、先程まで俺が見ていたバカデカいぬいぐるみに巻きつけて、未練がましく引き摺っていた。
そして先に見ていた物であると言う事は、値段は当然……。
「諦めろ。金は無い」
「……嘘、麟斗は財布という物を持ってきている。お金はある筈」
「なら見てみるか? ……ほらよ」
数刻前までまったく知らなかった財布の役割を理解し、更に俺が目立たぬよう持って来ていたのを看破したのは見事……が、補助の為にと小銭しか持ってきておらず、手持ちの総
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