第十七話:買物中の予想外
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頭から湯気にも似た白い靄を噴き出させ、倒れ込んだ際の硬い地面も合わせて二つのタンコブを作った楓子は、ピクリとも動かなくなった。
「俺が選ぶ、さっさと着替えろ」
「……いいの?」
「アイツに任せたら終わらん」
と言うより端から自分で値段を基準に適当に選べばよかったのだ。
そうすればこの不毛且つ延々と終わらない、地獄のファッションショー(の様な何か)に付き合わされずとも済んだだろう。
女の言う事を聞かねば、精神的負荷が増えると言うこの悪循環。
……いや、よしんば素直に聞いたとしても結果は同じか。
寧ろ何故こんな奴の言い分を耳に入れたのだと、精神炊き負荷が変わるのに変わりはなかろう。
何なんだろうか……二者択一に見せ掛けて拷問への一本道という、この類稀なる理不尽は。
その後白いワンピースやら袖無しの濃く青い夏服、動きやすい短めのズボンなども値段を基準に決め、レジへと持っていって買物を済ませる。
値段は九千六百八十円。つまりお釣りが三百二十円。
碌なモノなど買えはしないし、使えて精々アイスクリーム二個分……計算通り、上手く行ったか。
「……麟斗、楓子は?」
「放っておけ。どうせすぐ追いついてくる」
「……了解」
未だに尻を上にした体勢で突っ伏している楓子を横目で見て、適切な判断を下し俺はマリスをつれだってレディースファッションコーナーから、そして服売り場のエリアから離れていった。
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「可笑しいでしょ兄ちゃん! あの後一時間も放置するなんて!」
マリスと共にソフトクリームを口にしながら、楓子が開口一番叫んだ言葉がソレだった。
「ただ殴っただけなのに重症になるか」
「ず〜〜〜〜っと起きて来ないんだよ!? 当たり所がおかしいとか普通は思うでしょ!? マリスたんのモチモチスベスベな肢体に抱きつくのを堪えて、ハァハァと息が漏れるのをまで気絶した真似してたのに! 何でスルー出来るの!?」
自分で行ってて分からないか?お前がそう言う奴だからだよ。
もう読めている。
……あと涎が流れ出ているのも見えたし。
「折角私が―――『か、楓子……? 楓子!? お、起きろ起きてくれ! 俺、そんなつもりじゃなかったのに……!』―――『ごめんね、兄ちゃん……こうなる定めだったの……最後に一つだけ、お願い聞いてくれる?』―――『俺に出来るなら、何でもやってやる!』―――『キス、して欲しいの……ちゃんと、交わせてなかったから』―――」
全く臨場感も無い大根な1人芝居を始めた、“どっか” の “誰か” に似ているイタタな女子中学生から距
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