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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十七話:買物中の予想外
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は拭えず、やる気の無さがそのまま声に出た。
 出す必要が無いからとはいえ、自分ですら意気の無いと思える声だ。

 その、余りに残り値の低いやる気が―――


「どうどう? マリスたん似合う?」
「……楓子曰く、“攻めて”みた結果」


 服とも言えない柄の無い帯状の “何か” で胸部のみ覆った、ブーメランとほぼ同じ形状をしているパンツを着たマリスの所為で、タマゴアイスの最後よろしく一気に抜けていった。

 ……いつの時代の服だソレは? 良く売っていたなこんな所に。


「却下だ、着替え直せ」
「う〜ん……兄ちゃんの趣味はそこまで古く無かったか……てっきりアタシに興味を示さないから、もっとアダルティな装いが良かったと思ったのに」
「……次こそ喜ばせて見せる」
「そう! 次こそ涎ダボダボで息ハァハァに理性もぶっ飛ぶ、兄ちゃんの好みの衣装を見つけてみせるオデコはらめえええェェェ!?」


 大胆にも中指の根元ごと使って、肩を入れてド突くデコピン(という名の正拳突き)で額を殴り、試着室の中へと逆戻りさせた。
 陰にもなって他の客からは見えず、先程まで散々喚き続けていたので大声すら不審に思われていない。

 悪い方で、日頃の行いの成果が出たな。

 ―――ソコからマリスを使った、楓子主催の(悪趣味)ファッションショーが繰り広げられた。


「ダボダボの袖長にしてみました! チミっ子系なんてキュン死にしそう?」
「……麟斗お兄ちゃん」
「やり直せ」
「……麟斗―――」
「言いなおす……『着替え』直せ」


 ハッキリ言って自他共に邪魔なだけの衣装を押し返す。


「超絶あったかキグルミ風! マリスたん、もっふもふにしてやんなよ!」
「……もっふもふにしてあげる」
「近寄るな」
「……凍った心、溶かしてあげる」
「暑苦しい」


 夏場だろうが冬場だろうが絶対着ない服ならぬ服を撥ね退ける。


「清楚且つ可憐なお姫様! さあ、アタシと躍ってくださる?」
「……麟斗、手を握る事を許しましょう」
「……喜んでお断りさせてもらおう」


 他と値段は似たり寄ったりなのに豪勢で動きにくい服を否定する。


「喧嘩上等レディース系! 逆らやシバクぜ? みんな夜☆露☆死☆苦!」
「……アタイに惚れんなよ?」
「心配するな、永劫に惚れない」


 今時誰が着るのかも分からない派手な服を即時却下する。


「理解されない理解しない……闇の世界に生きる、一人孤独な―――」
「沈め」
「狼ショウビィイィィィィイイイン!?」


 コイツの悪ふざけを黙って受け流そうにも、いい加減収集がつかなくなってきたので、天罰にも似た雷の如く拳を脳天へと叩きつけた。

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