第十七話:買物中の予想外
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余りない。
しいて言えば鼻が曲がるぐらいか……。
そして再三言うが、マリス自身の服を買うのに際して、俺の意見はコレと言って重要でも何でもねえ。
「……いや……」
だが、此処でやいのやいのやるよりは良いだろうか?
値段を見て、後々の無駄使いが出来ない様に選べば、より道も無くなって一石二鳥だろう。
「まあ、無駄な時間食うよりゃはマシか……分かった。さっさといくつか選んで来い」
「やたっ☆ じゃ、マリスたん行こ!」
「……楽しみにしてて、麟斗」
何を? と質問し掛けた俺は、別に可笑しくないと思う。
試着室前で佇む俺の前に、数分と経たず楓子とマリスが戻ってくる。
露出の多い物や清楚なモノ、地味なカラーリングの服から、目が痛くなりそうな色味を持つ物まで、これまた仰山籠へ詰めて持ってきて、傍の小さな台へと大きな音を立てておいた。
籠壊れるぞ、オイ。
「それじゃーLet's試着ダゼぃ! オー!」
「……おー」
そうやって派手に騒ぐもんだから、周りの注目を集めてしまっている。
どうしても俺達三人の見た目に、似通う部分が無くバラバラだからだろう……クラスメイト同士で来ていると思われているのか、微笑ましそうな顔で眺めて来るオバちゃんらがまず目についた。
まあ、このシチュエーションで俺のポジションを言わば、『ショッピングを楽しむ二人の荷物持ち係』にしか見えんモノだろうな……癪ではあるが。
そして俺を睨む男子数名。
楓子もマリスも確かに見た目『は』良いので、どちらか一人なら未だしも両方と仲良くしてるように見えれば、不機嫌になってしまう気持ちは分からなくもない。
……だがコレも心外な事に変わりはない。
元より第三者の目で見ればジャレ付いているように見えるのかもしれないが、俺にとってはウザい突進を食い止めているのみ。
嬉しくもなんともない、ただイラつくだけ。
オマケにイラつきが溜まる奇妙なやり取りを交わした後だからか、普通に彼等を睨み返してしまい、蜘蛛の子を散らすように逃げて行ってしまった。
……何八つ当たりしてやがる、俺は。
「―――?」
「―――! ―――!!」
着替えに難儀しているのか未だ中でゴソゴソしている二人は置いておき、俺は服に付けられた値札を全て確認していく。
……見た目は種々雑多であるのに対し、偶然なのか全ての値段が、見事なまでに画一的だった。
思いもよらぬ事態だが、お陰で計算自体は難しくなさそうだ。
「ねぇねぇ兄ちゃん! 見て見てっ!」
「……麟斗、着替え終わった」
「……あぁ……」
時間とすれば五分と経ってはいないだろう。
しかし大分待たされた気分なの
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