Fate/stay night
1119話
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「魔術師? 聖杯戦争? 何だ、遠坂。それって何かのゲームの話か?」
「いえ、正真正銘現実の話よ。……いい、よく聞いて。これからは綾子にとっても他人事じゃない話だから」
そう念を押した凛の表情は真剣その物であり、美綴はただ頷くしか出来ない。
俺もまた、ここで口を出せば余計に時間が掛かるだけだと判断し、黙って毛布を被ったままで凛の話を聞く。
「時間がないから端的に言うけど、この世界には魔術師という存在がいるの。まぁ、色々と違うけど、小説とかに出てくる魔法使いと似たようなものだと思ってくれていいわ。その魔術師が、現在この冬木で聖杯と呼ばれている存在を賭けて殺し合いをしているのよ。で、綾子はその殺し合いに巻き込まれた」
普通であれば信じる事は出来ない話なんだろうけど、凛の様子を見てとても冗談ではないと思ったのだろう。それでも半信半疑な様子で口を開く。
「つまり、遠坂やアーク、慎二もその魔術師って奴なのか?」
「違うわ。その中だと魔術師は私だけよ。……こんな風に、ね」
左手の魔術刻印を光らせる凛。
普通なら左手が光るのを見てもトリックか何かだと勘違いするんだろうけど、凛の場合はどこかトリックとは思わせられないような、そんな迫力があった。
「……理解した。いや、取りあえず今のままだとあまり理解出来ない事を理解したって言うべきか。とにかく、遠坂が魔術師なら……アークや慎二は?」
「アークは、正確にはアークエネミー。さっき言った聖杯戦争で魔術師が呼び出す、英霊ね」
「英霊?」
「詳しい話は抜きにして簡単に説明すると、過去に英雄と呼ばれるようになった存在よ」
「アークが、英雄? ……ちなみに、何の英雄なんだ?」
「……分からないわ。ちょっとした儀式のミスで、アークエネミーは記憶を失っているの」
「儀式のミスって……ちなみにアークエネミーだから、アークなのか?」
「そうよ。まぁ、その辺の詳しい話は置いておくとして、今は綾子に何が起こったのかの説明を続けさせて貰うわね。とにかく、綾子は慎二の馬鹿によってライダーに危害を加えられそうになった。それでサーヴァントの気配を察知したアークエネミーが急行して戦いになった訳だけど……その際、ライダーの攻撃でアークが怪我をして、その血が綾子の口の中に入って、飲み込んでしまった。……正直、こいつが普通のサーヴァントなら良かったんだろうけど、こいつは色々と普通じゃなかったのよ。こいつの血には魔力が信じられない程に濃縮されてたの。そして、綾子はその血を飲んでしまった」
ここまで説明されて、ようやく自分の現在の状況がどれ程危険なのかを理解したのだろう。美綴は俺と凛の情事を見て顔を赤く染めるのでもなく、魔術師や聖杯戦争といった話を聞いていたような要領を得ない表情でもなく
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