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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第488話】
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傷を負っていた筈の未来の柔肌は完治されていたからだ。

 艶やかな黒髪が風に靡く――そんな未来に見とれていると、未来はその視線に気付いたのか視線を此方に向けた。

 慌ててヒルトは視線を逸らした。

 だがその視線の先には――まだ【紅い機体】が残っていた。

 一夏達二人の攻撃を適当にやり過ごし、時には加減した攻撃で応対していた紅い機体。

 今なお二人を応対しつつも物言わぬモノアイを此方に向けていた。


「クッ……! お前の相手は私達だぞッ!」


 二対の刀を振るい、攻撃を行うもその剣閃は相手には容易く見切られていた。

 そして、箒の大振りの隙を狙い、加減した攻撃を行う――プログラムに従うように。

 だがその攻撃は一夏が二機の間に身体を滑り込ませ、一撃を受け流した事で特に大事に至る事はなかった。


「――箒は、やらせねぇッ! 箒だけじゃねぇッ! 学園も、仲間も――皆を守れなくて、何が男だ!」

『――――――』


 互いにつばぜり合いを続ける二機、一夏は力押しで五枚刃のブレードを押しどけようとするが機体パワーの差が激しく、びくともしなかった。

 空いた左手を翳す――第二形態移行したと共に、手のひらには砲口が開いていた。

 粒子が集束――放たれようとしたその時、箒が叫ぶ。


「一夏! 危な――」



 叫ぶ一夏よりも早く、割って入り、翳した左手を弾く。

 翳した左手の粒子砲は明後日の方へと向き、アリーナの内壁へと直撃した。


「はぁっ……はぁっ……!」

「簪……」


 割って入ったのは更識簪だった、心の奥深く、ほんの少しの勇気の欠片を握り締め、一夏の窮地を救った。

 それが災いしたのか、ヒルトに向いていたモノアイが簪の方へと向く。

 周囲の邪魔になる一夏、箒の二人をシールドビットをぶつけて分断させる。


「くっ……このっ!! 邪魔だ……!」

「ッ……! 簪ぃぃぃッッッ!!」


 一夏の声は簪の耳には届いてなかった、目の前の紅い機体が放つプレッシャーに、振り絞った勇気の欠片が呑み込まれそうになる。

 だけど、簪は退かない――退けば、前の自分に戻ってしまう――そう思ったからだ。

 右腕の五枚刃のブレードを振りかぶる紅い機体。

 自身の武装である薙刀、夢現を構えて防御の姿勢をとったまさにその時、紅い機体の背後から黒と白の二機の機体が交差攻撃を行った。


「悪いな、簪。 ……そして、ありがとうな。 勇気を出してくれて」

「わ、私……も、学園の生徒、だもんっ……! 死ぬのは、怖いけどっ。 も、もう、後ろ向きな自分にっ、さよならするからっ!」


 言いたいことを上手く口に出来
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