暁 〜小説投稿サイト〜
IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第488話】
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 つばぜり合いを続ける二機のIS、一方は学園を襲撃してきた黒い機体、もう一方は学園を守るために戦う飯山未来の機体【天照】。

 当初は未来が優勢だったのだが、一瞬の隙を突かれての相手の一撃によって一部装甲が砕かれ、露出した生身部分に強烈な一撃を受けた。

 一時的な身体能力の低下に伴い、徐々に劣勢へと立たされていた。


『――――』

「っ……、ま、まだ……だぁッ!!」


 自分を奮い立たせる為に叫ぶ、不思議と天照自身が未来に呼応するかのようにパワーが上がっていった。

 だが――力押しで続いていたつばぜり合いは唐突な終わりを見せた。

 相手がわざと力を抜き、横に避けた――押していた未来の体勢が前のめりで崩される。


「え――――」


 自分の中でも気付かぬ内に、そういった駆け引きが出来なくなるほど余裕がなかったのかもしれない。

 完全に無防備な背中を露にした未来、その隙を襲撃者は見逃さなかった。

 機体にプログラムされていた命令――【イレギュラー】要素のある人間の抹殺を実行する為に巨大な大剣を突き刺そうと動く。

 振り向く未来の瞳に映った光景は絶望だった、自身の命が奪われる――脳裏にそれが過ると恐怖が心を支配していった。


「……す……て……ルト……」


 無意識に唇が動く未来、掠れて、誰にも聞こえる筈もなかった。


「……たす、けて……ヒルト……」


 死の恐怖が支配する未来が口にしたのは、想い人である幼なじみのヒルトだった。

 巨大な大剣が未来を貫こうと構え、一突きに突き刺そうと振るった。

 走馬灯の様に幼かった頃の思い出が蘇ってくる、その中の一つの思い出が鮮烈に未来の中で蘇った。

 まだ小学校低学年の頃、近所でも吠えて怖い犬が居る家の前を通らなければならなかった未来、いつもは母親と一緒に買い物に行くのだがこの日だけは醤油が足りないという事もあってか未来一人での初めてのお使いだった。


「……グルルゥ……ッ!」

「…………ッ!」


 歯を剥き出しに此方を睨んでくる犬に、未来は前に一歩踏み出せずにいた。

 この家の前を通らないと、車通りの多い大通りへと迂回しなければならない、帰宅時間という事もあって往来は激しく、自転車の無謀運転や大型車等小学生一人で行くには危なすぎる場所だった。

 剥き出しの歯に涙目になる未来、だけど勇気を振り絞り、未来は一歩を踏み出したその時。


「……! ガウッ! ガウッガウッ!!」

「……ひっ……!?」


 一歩踏み出した未来に容赦なく吠える犬、未来は小さく悲鳴を上げた。

 時間だけが過ぎていき、夕日が徐々に落ちていく――一歩の勇気を踏み出せず、今に
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ