精神の奥底
50 Dark Side Of The City 〜前編〜
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黒のスーツに紫のネクタイの商人と金髪にピアスの年齢としては10代半ばといった不良少年が金とブツを交換しているという光景を薄暗い街灯が照らし出す。
一昔前ならば白い粉の入った袋と金の交換がメジャーだったが、時代とともにこの年代の子供が欲するものは変わってきているのだ。
「これでオレも…超人に…」
「えぇ、何でも思うがままです。お買い上げありがとうございました」
商人の方は封筒に入った札数を確認すると、背を向けて去っていく。
本当は提示額よりも少なかったが原価を考えれば、十分な利益になる。
その上、現状の目的は売って利益を出すこと以上に広めることにある。
「次は…秋原町3丁目か…」
Lumiaのスケジュールを確認する。
しかし次の瞬間、画面にノイズが入ったかと思うと電源がダウンした。
商人の端末だけではなく、不良の端末にも同じ症状が発生している。
「ハッ!?故障!?」
更には、2人を照らしていた街灯すらも消えた。
これだけの偶然が連発するのは、原因が何かは分からないが、意気がることしか脳みそが無い不良ですらもただごとではないと感じる程の怪奇現象だ。
それに対して、商人は原因に心当たりがあった。
しかしそれに気づいた頃には遅かった。
「まさか…電磁パ..!?うわぁぁぁ!!!」
真っ暗になり周囲が見えないという何が襲ってくるか分からない状況下で恐怖とともに何かが降ってきたのだ。
それは頭に直撃し、一瞬で意識を奪う。
「!?何だよ…」
それは強烈な踵落としだった。
隣の廃ビルの屋上からの重力に任せた自由落下だ。
暗闇を纏い、僅かな灰色を覗かせてスターダストは次のターゲットに狙いを定めた。
「おい…来るなよ」
「……」
恐怖を放ちながら、ゆっくりと迫り、胸ぐらを掴んで壁に叩きつけ、地面に放り投げた。
「グッ!?」
「……!!」
「あっ!!カードが!!」
胸ポケットから買ったばかりのユナイトカードが落ち、勢い良く地面を滑る。
不良は慌てて真っ暗な地面を手探りで探し始めた。
カードさえあれば、この悪魔と対等に戦うことができるかもしれない。
あわよくば倒せるかもしれない、この恐怖を打ち払えるかもしれない。
そんな叶うはずもない希望に取り憑かれて地面を這いつくばる様は自分の行ってきた所業に対する当然の罰を受けた哀れな者の末路を忠実に表していた。
「あっ、あった!!あったぁぁ!!」
滑ったカードは転がっていた石にぶつかり、ちょうど電柱の手前で止まっていた。
不良は藁にもすがる思いで手を伸ばす。
しかしそれは遅すぎた。
「……!?」
暗闇に慣れ始めていた目は何があったのかを正確に捉えていた。
重厚感のある灰色のブーツが自分に取っての
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