精神の奥底
50 Dark Side Of The City 〜前編〜
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iPhoneの電話帳から番号を選択して発信する。
インターネットが使えない環境でも、VoLTEやIP電話が使えなくなるが、国際電話に関しては世界中に張り巡らされた海底ケーブルを介して使うことができる世の中に進化していた。
もちろんIP電話がかなり普及し、一般的な通話もVoLTEが一般的になっているニホンの現状からかなりのダメージではあるが、少し時代を対抗させれば対応できることもあるのだ。
祐一朗は耳に受話口を当てる。
「…出てくれ」
回線が切り替わる音がした後、再び呼び出し音が耳を突く。
もし連絡が取れなければ、熱斗を救う手段が途絶えてしまう。
落ち着かずに親指の爪を噛む。
『…ハイ』
ほんの僅かな時間だったが、人生で一番長い10秒間だった。
若々しくはっきりとした声が響いた。
「私だ、光祐一朗だ。突然で済まないがニホンに来てくれ。実は熱斗が…」
祐一朗は少し早口で、現状と自分の知っていることを話した。
現在のニホンの状況、テロ事件の概要、電話の相手はある程度の情報を既に持っており、会話はサクサクと進んでいく。
この相手こそ、祐一朗にとっての現状、最初で最後の希望だった。
ゆっくりと足を進めると、そこには絶景が広がっていた。
大都会を象徴するビルの群れと、眠ることのない電気街が交じり合い、まるで地表に夜空が描かれているようだ。
先程までの雨は止み、雨雲の切れ目から覗く三日月と北極星がその美しさが更に高めている。
「……」
少し風は強く、冷たい。
10月だというのに日中は真夏と勘違いする程の気温だったが、着実に秋、そして冬に近づいている事を肌で感じた。
「さぁ…始めよう」
デンサンタワーの展望台の上でスターダストは始まりの言葉を告げた。
特に集中しているというわけでもなく、エンドルフィンやドーパミンといった脳内麻薬が出ているわけでもないが、スターダストを使った際の負荷を感じない。
これは既に自身の肉体がスターダストシステムに順応したことを証明している。
今ならば、今までの戦闘の中で最も強力な力を引き出すことができる自信があった。
「……」
標高約400メートル、ここならばデンサンシティの全てを見通せる。
もし落ちれば、常人なら間違いなく命はない。
だが数キロ先の相手を撃ち抜けるだけの武器と能力があれば、この場所ほど奇襲に適した場所は無いのだ。
スターダストはガレージから持ってきたものを取り出す。
小型の2つのパーツをそれぞれ左の太ももとベルトから取り出してドッキングさせた。
左足の太もものパーツと片方のパーツの形状が非常に似ていたため、それを取り外して携帯するため
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