2部分:第二章
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第二章
そのメージャーを見るのだった。彼はというと。
確かに仕事は真面目で家庭も大事にしている。そうした意味では本当に非のうちどころがない。しかしそれでもなのだった。
やはりだ。自分の机の周りには十字架だの何なりを置いてだ。大蒜の匂いをさせ聖水を降りかけている。その非常に神経質なまでの吸血鬼に対する備えはだ。さらにエスカレートしていっていた。
彼自身だ。こう話すのだった。
「最近感じるんだ」
「感じるとは?」
「いやね、吸血鬼がだよ」
こうだ。彼女にも眉を曇らせて話すのである。
「僕を狙ってるんだよ」
「血を吸う為にですか」
「そう、狙ってるんだよ」
こう話すのである。
「あの連中は霧になったり狼になったりして来るから」
「それに蝙蝠ですね」
「あらゆるものに姿を変えることができるんだ」
スラブの吸血鬼の話だがだ。それはそのままイギリスにも入ってきているのだ。ストーカーの小説では舞台はイギリスにも移ったせいだろうか。
「だからね。ちょっと失礼」
「はい?」
メージャーは急に懐からあるものを出した。それは。
鏡だった。小さな手鏡だ。それで彼女の姿を写したのだ。
そうしてからだ。彼はほっとした顔でこう言うのだった。
「大丈夫だね」
「といいますと?」
「吸血鬼は鏡に写らないんだ」
こう話すのだった。
「だからね。こうして鏡に写してね」
「確めておられるんですか」
「うん、そうしてるんだ」
かなり神経質な顔でだ。彼女に話す。
「気分を悪くしたら悪いけれどね」
「いえ、それはいいですけれど」
「さっきも言ったね」
また言う彼だった。
「吸血鬼はあらゆるものに姿を変えられるんだ」
「私にもですか」
「そう、だからね」
そうだとだ。メージャーは胸に下げている銀の十字架を右手で握りながら話していく。
「最近こうもしているんだ」
「あの、それで」
内心戸惑いながらだ。彼女はメージャーに尋ねた。
「若しもです」
「若しも?」
「若しも私が吸血鬼だったら」
その場合はだ。どうするかと尋ねるのだった。
「その場合はどうされてたんですか?」
「決まってるじゃないか」
目に明らかな怯えを見せてだ。答えを言う彼だった。
「その場合はまず聖水をかけて」
「聖水をですね」
「それから銀の銃弾を撃ち込んで」
真剣そのものの、だがそこには幾分かの狂気を帯びさせた目での言葉だった。
「心臓に木のクイを打ち込んで」
「そうされるんですか」
「最後に銀のナイフで首を切るんだ」
そこまでするというのだ。
「何しろ相手は吸血鬼だからね」
「それでなんですね」
「うん、そうするよ」
こう話すのだった。
「もっともその前にこうして確めてるけれど
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