暁 〜小説投稿サイト〜
暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
07
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
でしょうか……?」
「そう構える事はありません。 これは臨時兵士の面談結果の通達(つうたつ)提案(ていあん)です」
通達(つうたつ)と…提案(ていあん)?」

 今更なんの通達(つうたつ)があるのかと思い、自分は首を(かし)げた。
 面談の内容はもう絶望的だと思っていたが、そうではなかったのだろうか?


「デトワーズ皇国国王エルザ・ミヒャエラ・フォン・デトワーズ姫陛下による私的(してき)な面談の結果、貴方様を臨時兵士としての申請(しんせい)簡略的(かんりゃくてき)に許可されました…すなわち傭兵としての雇用を認めるものとします」
「え……」

 その言葉に自分は一瞬理解が遅れた。
 一つ一つ言葉を理解していけば、その意味がとてもシンプルに自分の頭の中でまとまった。


 ―――雇ってもらえるのだ。


 そう理解した途端、自分の心の中は満面喜色(まんめんきいろ)になった。

「ほ、本当ですか!?」
嘘偽(うそいつわ)りなく本当です」

 しかし、とメイドさんは言い淀んだ。

「身を持って体験したでしょうが、姫様の面談の仕方がかなり……ゴホンッ、少々問題があると言わざるを得ません」
「あっ、はい」

 こればかりは自分は建前(たてまえ)抜きで即答(そくとう)した。

 そりゃそうだろう。
 アレが面談であると言うのなら、恐ろしく斬新(ざんしん)で、暴力的で、そして傭兵稼業なんてひっそりと路地の裏へと引っ込んで行ってしまう。

「面談の結果、臨時兵士として採用しますが、扱いはあまりよろしいものではありません」
「えと……採用されたのなら、扱いなんてどこも一緒じゃないですか? 傭兵、なんだし」

 少なくとも今までの経験からして、傭兵として雇われたら大抵は一つの部隊にまとめられる。
 傭兵団であれば一個の部隊として扱ってくれるだろうけど、それを(のぞ)けば個人か少数グループを一緒くたの寄せ集め部隊扱い。

 階級差なんてご立派なモノもなければ、隊長なんてものもない。
 だから扱いなんてどこも一緒だと思う。

「デトワーズ皇国における臨時兵士の役割は、“国境線(こっきょうせん)の前線維持”を目的としています。 その役割は主に三つに分けられます」

 メイドさんはそう言って三つ指を立てた。
 一つずつ指を(たた)んでその役割をそれぞれ説明すると、だ。

 一つ、哨戒(しょうかい)遭遇戦(そうぐうせん)(にな)う者。
 一つ、予備戦力として拠点防衛(きょてんぼうえい)(にな)う者。
 一つ、物資(ぶっし)の整理と管理を(にな)う者。

 三つ指全てを畳んだ所で説明は終わった。 実にシンプルな三つの
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ