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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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はダメだったのかも知れない。


「う〜…何が悪かったかなぁ……」

 どんよりと気が滅入(めい)って自分は頭を抱えた。

 言葉遣(ことばづか)い、態度、服装(ふくそう)…色々理由はありそうだけれど…貴族の考え方は一筋縄(ひとすじなわ)にはいかない。

 傭兵風情(ふぜい)は嫌いだとか。
 下賤(げせん)庶民(しょみん)分際(ぶんざい)でとか。
 ただ単に気に食わないとか。
 存在そのものが邪魔だからとか…等々。

 貴族の中にはそういった考えを持った者もいるし、実際に運悪く目に()まって似たようなのを受けた事もある。
 お偉いさんは気まぐれだからなぁ…。

 でなければ、いきなり殴られる理由はないだろう。


 いきなり殴られる理由なんて作りたいとも思わない。
 いや、本当に……痛いの、好きじゃないし…。


「はぁ〜………明日からどうしよう…」

 ベッドの上で、自分は頭を抱えた。

 殴られたって事は間接的(かんせつてき)に、どころじゃなくて直接的にも「ダメ」って事。
 つまり…ここで傭兵が出来ないという事は収入の目途(めど)は断たれたと言う事だ。
 真面目な話、最低限の装備――胸当ては犠牲になった――を除いて、売り払って換えた(ドゥエ)はまだ残っているけれど、それも屋根付き食事付きの生活を続けるとなると心許(こころもと)ない。
 一縷(いちる)の望みを賭けて傭兵として雇われに来たのに…収入のアテがなければ、宿代にも困る身の上である。


 普通にヤバイと思う。

 正確には、あと一ヶ月あの宿で泊まっていけるかどうかぐらいだ。
 それを意味するのは、自分の人生があと一ヶ月を切っている、と同義(どうぎ)であると思うと…危機感を感じる。

 うん、マジでヤバイ。


 明日から日雇いの仕事でもするかなぁ…。
 もしくは、宿でダンディなエメリッヒ店長に頼み込んで、下男(げなん)として住み込みで働かせてもらおうか……。
 あ、そうしたらエマちゃんと一緒に同じ職場で働く事になるから、案外(あんがい)アリなんじゃないか、と思えてきた。


「失礼します」

 不意に自分以外の誰かに声をかけられた。
 先程の真っ白コートの人とは違う女性の声。

 視界(しかい)を遮るカーテンのような布の裏側から声の主は現れ、そして自分は真っ先にメイド服の姿を(とら)えた。

「お加減はよろしいでしょうか? …信じられない事に、健常(けんじょう)そうだと見受けられますが」


 メイドさんだ。
 あの時のメイドさんだ。

 忘れもしない。 そして思い出した。

 確かこのメイドさんに連れられて姫様と会わせられ
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