四十一話:決闘と日常
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その点では間違いなく負けている。
何かしら攻略法は無いかと思い試しに軽くフェイントを入れてみる。
「……欠片も反応せんか」
微細に肩を動かし斬る素振りをして見せたが相手はまるで反応を示さなかった。
普通であれば見破っていたとしても何かしらの反応があるはずなのだ。
最低でも意識して注視するはずだ。
気づいていないという線もあるがそれならそれで収穫である。
「今の汝は機械に近い状態か」
「………」
二刀で斬撃を無数に飛ばして距離を離しながら思考を纏めていく。
今のジークは与えられた情報から最善の行動を導き出すだけの機械。
故に無駄なものには一切の反応を示さない。
奇抜な発想があるわけではないが決して打ち間違えを起こさない将棋ソフトのような物。
シンプルであるが故に強い。予想外の事態に弱いという欠点はあるかもしれないが相手のデータがどれ程のものであるか分からない以上は試す意味がない。
「ガイスト―――」
「やはりシンプルに行くべきかのう」
再びガイストを使おうとしているジークに対して何を思ったのかダラリと腕を下ろす。
次の瞬間には黒い弾丸と成り果てたジークが突撃してくる。
それでもまだ彼女は動かない。死神の鎌が今まさに彼女の首を刈り取らんと近づき―――
「……すまんが枷を外させてもらうぞ」
―――鮮血が宙を舞う。
見守る者達からは悲鳴が巻き起こる。
地面に人が着地する重い音共に気味の悪い水の零れる様な音が聞こえる。
ジークの腕からポタリポタリと赤いしずくが零れ落ちる。
そしてエクスヴェリナは―――
「汝の右腕……貰ったぞ」
サーベルから血を滴らせ笑みを浮かべていた。
反対にジークはエレミアの神髄が解けたのか痛みに顔を歪めながら斬られた右腕を抑える。
「なんで……なんであの距離から避けれたんや? そもそもなんで私が斬られたんや」
「枷を外したからだ。如何に我が動かしているとはいえ我が子孫の体では本気がだせん。だが、脳のリミッターを外せば一時的とはいえ以前の我の力と同等になる」
エレミアの神髄を攻略するために彼女がとった作戦は純粋にジークを上回る速度を出すことだった。
500年の中には彼女よりも早い者もいただろう。
しかし、彼女と同じように限界は体の持ち主で決まるのだ。
それを越えるためにあの一瞬で無理やり限界を超えたのだ。
「……そんなことしたら先に体が動かんこうことなるやろ」
「その通り。しかし、聖王がやっていたように外部から操作してやれば話は別だ」
「…ッ! リヒターの体になにしとるん!?」
「心配するな、程度はわきまえておる。それよりも―――自分の心配をしたらどうだ?」
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