第六十六話
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店でくつろいでいた所クラインが藪から某にそんな事を口走った。
「蘇生アイテムって事ですか?」
「ああ」
「ふむ…」
俺は少し考えてからクラインに向き直る。
「死んだ人間を生き返らせるアイテムをこんなゲームを作った人間が作るとは思えませんが?」
「ああ、オレもその意見には同意だ。…だが、最近プレイヤー間で持ちきりになっている噂がある。クリスマスのイベントMobの噂だ。噂だとそのモンスターは死者を生き返らせる事が出来るアイテムを持っているらしい」
「本当ですか!?」
クラインの対面でジュースを飲んでいたシリカが聞き返す。
「ああ、情報屋から買った情報だし、俺自身もNPCからそう言った話を聞いた」
なるほど。
だけど…
「やっぱり無いと思うよ。万が一死んだと同時にこことは違うどこかのサーバーに移動させるとかの手段を取っているとも考えられるけれど…それでも誰かが現実世界で犠牲になっているから俺たちのナーヴギアは外されていないんだしね」
「だよな…」
「けれど、HPが全損してそのアバターが四散するまでほんの少しだけどラグがあるよね?」
ほんのわずかな間だけだけど…ね、確かにあるんだ。
皆、自分の死を受け入れられないと言ったように叫びながら死んでいく…自分の死を受け入れて死んでいく人なんて僅かだ。
「もし、そのラグの間に蘇生アイテムを使えば?俺たちを現実世界で殺す命令をキャンセル出来るかもしれない。…とは言え、この推測では過去に死んだ人間が返って来る訳ではないね」
「…そう、だな」
「それにもしそんなアイテムが有ったとして、今度は別の問題が出てくるわけで」
「どんな問題ですか?」
そうシリカが問いかけてきた。
「持っているのはボス級モンスターなのだろう?だとすればそれを被害を最小限にして倒すのにはそれなりの人数を集めないといけない。だけどドロップするアイテムはいくつなのかな?」
「あ!」
「そう。ひとつの物を奪い合う事になって他者を殺してしまうような展開になっては本末転倒。このアイテムは諦めたほうが無難。、他の人たちとの軋轢を考えると傍観したほうがいい」
「そうだよな…」
「どうかしたんですか?」
シリカが心配そうにクラインに聞いた。
「知り合いがな…それを手に入れるために躍起になってる。どうにかしてやりてぇが…難しいな」
と、そんな感じでその会話は終了した。
クリスマス。
その日俺はシリカとピナを連れてクリスマスカラーに染まった始まりの街を歩いていた。
「あ、あっちにチキンが売ってますよ」
と、チキンに釣られたのか俺の腕を引いて勢いよく屋台へと掛けていく。
「この
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