閑話―各陣営―
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稟」
「はい」
家臣から渡された文、袁紹軍の連合参加が記されているそれに目を通し、華琳は笑みを浮かべながら呟いた。
先にその知らせを受けた郭嘉が反応し。肯定の返事をする。現在、陣営の主たる者達を集めた場所に居た。
「……なぁ秋蘭、何が裏に出たんだ?」
「『裏目』だ姉者。稟、説明を頼めるか?」
「承りました」
今回の騒動、袁紹達は参加を仄めかすことで諸侯の動きを遅らせた。当初は旨く策が通じていたものの、袁術軍の連合参加表明を機に一変。諸侯や世間に連合参加は確定的と認識されてしまう。
袁術軍が参加するのに、当主である袁紹が参加しないとは思えないのだから無理も無い。
この空気の中、不参加を表明しようものなら袁家の名に大きな傷が付くだろう。袁紹には名族の長として、他に選択の余地がなかった。
稟は丁寧に、わかりやすく説明した。
「な、なるほどなぁ……」
「はぇ〜、大変なんですねー」
「今のを理解できたのか!? 季衣きい!!」
「はい! 袁紹さん達は、期待に応えなければならなくなったんですよね!!」
「概ねそんな感じです」
「やったぁ!」
「……」
余り自分が理解出来なかったことを妹分である許緒―――季衣が理解していることに項垂れる春蘭。
そんな姉の様子に秋蘭は、微笑みながらある事を促した。
「姉者」
「う、うむ……すごいぞ季衣!」
「春蘭様、ありがとう!!」
尊敬する姉貴分に褒められ、許緒は益々気を良くする。その光景を微笑ましく見ていた秋蘭だったが、ふと、袖が引かれる感触がし、そちらに目をやると――
「秋蘭様……私も稟様の説明を理解できました」
彼女の妹分である典韋――流琉るるが遠慮がちに声を掛けてきた。それを見た秋蘭は一瞬眼を丸くし、蕩けさせる。
「ああ、流石だな……流琉」
「あ……えへへ」
期待する眼差しに応える様に彼女の頭に手を置き、最大限の愛情を持って撫でる。
許緒の幼馴染である典韋は、活発な許緒に比べ落ち着きがあり、幼い見た目に反し聡明だ。
稟の説明を十分に理解しただろう、それに対して秋蘭は疑うべくも無いが、それとこれとは話しが違う。大人びている故に忘れがちだが典韋もまだ子供なのだ。褒められてうれしくないはずがない。
そして、それを理解しているからこそ秋蘭は優しく目を細め、娘を愛でる母親のような表情で頭を撫でた。
「……この流れ」
「乗るしかないの! 凪ちゃん!!」
「止めろ気色悪い」
「「ひどい!」」
「……」
楽進、李典、于禁も交えた。温かい団欒の様な光景を見て郭嘉は思う。
―――我が主も変わった……と。
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