閑話―各陣営―
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諸侯や漢王朝から見れば勝手な行動、反逆の兆しありという評価も、民衆からすれば正反対の物になる。
無理も無い、重税を強いるだけで何も還元してこなかった王朝とは違い。袁紹は徳を持って大多数の人命を救ったのだ。その功績はすぐさま大陸各地を巡り、世間は袁家の話題で染められた。
こうなると諸侯はもとより、漢王朝も苦言を呈し辛い。只でさえ王朝に対する不満は溜まっているのだ。民衆が支持する袁紹を批判し、さらに地に落とすわけにはいかないだろう。
彼らに許されたことは、精々影で『棄鉄蒐草』と嗤う事だけであった。
だが、それを良しとしない者達がこの荊州にいる。
反袁紹派だ。かねてから目の仇にしている袁紹の活躍、評判、袁紹等が情報を拡散させていることにも拍車がかかり、嫌でも耳に入ることとなった。
これに対し彼らの不満が爆発、功名心に逸り張勲を捲くし立てた。
当然彼女は頭を抱えた。袁術軍は勢力としては大きいが、錬度が低い。黄巾討伐に乗り出しても大した功績は挙げられないだろう。張角の首級など夢のまた夢だ。
故に孫呉の者達を利用した。彼女達の独立に対する願いと、それを可能に出来るだけの有能さを知っていた張勲は、狙い通り張角討伐の功績を横取りする事に成功した。
この一件により反袁紹派の者達は沈静、彼らの功名心を満たすことに成功していた。
そんな中また新たな一報が入る。その知らせとは『董卓』を、実質天子の次席である相国に据えたと言うもの。
そしてそれに伴い、反董卓の風が漂い始めた。
張勲は当初楽観視していた。自分達には余り関係が無いからだ。
袁紹が連合に参加すれば袁術軍は召集されない。錬度の未熟さや、反袁紹派と言った不安材料を、わざわざ戦地に呼びはしないだろう。
仮に袁紹が不参加を唱えたとしても、此方もそれに合わせ不参加と表明すれば良い。簡単な話しだった。
しかし、反袁紹派は張勲の想定の範囲、それを軽く上回る厄介ごとを引き起こした。
張勲の目を盗み袁術に接触、連合参加の文を署名させ、各地に届けだしたのだ。
袁紹が参加の空気を醸し出すだけに留めたことを、恐れをなしていると解釈して……。
これにより諸侯から、袁術軍の連合参加は確定的に見られている。前言撤回し、不参加にすることも出来るかもしれない。しかしその場合、袁術軍の名は地に落ち、不満を覚えた反袁紹派達は暴走するだろう。
連合の参加は不回避、だが張勲の憂いはそれだけではない。
「恐れていた事になってしまいましたねぇ……」
暗い表情でその文に目を通す、そこには――
袁紹軍が正式に連合に参加すると記されていた。
「彼の策は裏目に出たようね、
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