第十六話:スーパーマーケットの中で
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
兄貴や楓子はどちらかというとお袋似だが、俺は羆の様な体型以外親父に似ているとよく言われるからな……。
怖いと言えば、怖い方に入るかもしれん。
「でも、ありがとね兄ちゃん! へっへ〜、斉藤ってばいい気味! 兄ちゃんを怒らせるからそうなるんだよ〜」
まるで鬼の首でも取った様に、嬉しそうに小躍りする楓子。
別にこいつの為にやった訳じゃあ無く、自分がムカついたから睨んだ(もう認めよう)だけなのに、都合よく解釈してやがる。
マリスもマリスで、何故だか嬉しそうだ。
……何が嬉しいのだろうか。
「楓子、あんな声が出せたか、お前」
あの二人よりも気になった事を、確信を得るためにと楓子に聞く。
「兄ちゃんにはあんな声出さないよ! 歩くハムラビ法典だから!」
「ああ、目には目を、か」
「……その解釈で正しい」
此方も正解。
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、しかし何も考えず能天気に生きているかと言えば、そうでもなかったらしい。
コイツなりに考えて、日々を生きていた。
……如何でもいいが、“目には目を、歯には歯を” を実践するならば、俺にも暴力が飛んでくる可能性が高いと思うのだが、そこの所如何なのだろうか。
殴られたい訳でもないが。
「兎に角、さっさと服を買いに行くぞ」
「うん!」
「……うん」
ドサクサに紛れて又も抱きついてこようとする二人を避け、俺は服売り場へと足を進めていった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ