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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十六話:スーパーマーケットの中で
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 兄貴や楓子はどちらかというとお袋似だが、俺は羆の様な体型以外親父に似ているとよく言われるからな……。
 怖いと言えば、怖い方に入るかもしれん。


「でも、ありがとね兄ちゃん! へっへ〜、斉藤ってばいい気味! 兄ちゃんを怒らせるからそうなるんだよ〜」


 まるで鬼の首でも取った様に、嬉しそうに小躍りする楓子。
 別にこいつの為にやった訳じゃあ無く、自分がムカついたから睨んだ(もう認めよう)だけなのに、都合よく解釈してやがる。

 マリスもマリスで、何故だか嬉しそうだ。
 ……何が嬉しいのだろうか。


「楓子、あんな声が出せたか、お前」


 あの二人よりも気になった事を、確信を得るためにと楓子に聞く。


「兄ちゃんにはあんな声出さないよ! 歩くハムラビ法典だから!」
「ああ、目には目を、か」
「……その解釈で正しい」


 此方も正解。

 馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、しかし何も考えず能天気に生きているかと言えば、そうでもなかったらしい。
 コイツなりに考えて、日々を生きていた。

 ……如何でもいいが、“目には目を、歯には歯を” を実践するならば、俺にも暴力が飛んでくる可能性が高いと思うのだが、そこの所如何なのだろうか。

 殴られたい訳でもないが。


「兎に角、さっさと服を買いに行くぞ」
「うん!」
「……うん」


 ドサクサに紛れて又も抱きついてこようとする二人を避け、俺は服売り場へと足を進めていった。


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