第十六話:スーパーマーケットの中で
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水商売の姉ちゃんにしか見えないんだよ、この斉藤って人は。
化粧の趣味が悪いわ、顔からして中二じゃないわ、言ってしまえば喋り方すら……。
美人は三日見たら飽きると言ったが、この斉藤はどんだけ長くても……数十分見たらもうお腹いっぱいだな。
目が自然と拒絶する。
「ナニナニナニ? このイイ線行ってるカワイー子、冴子の知り合い系ー?」
次にカップルの片われである、彼氏の方が話しかけてきた。
髪の毛が灰色というトンデモ無い色である俺だが、生活に慣れていない時期のストレスにより脱色したという経緯があるからか、幸いにも不自然さが無い。
対してこの男の髪の毛の色は、無理矢理金髪に染めようとして失敗した、汚いに汚いを重ねた様な茶色。この系統色に良くあるイメージの、落ちつきのある、穏やかな、等という言葉はどこにも見当たらない。
日本人が下手に染めてもキッタネェ結果に終わるだけだと言う、典型的な例を彼は見事表現してくれている。
……そして彼女が居るのに、何で先より嬉しそうな顔して楓子褒めてんだお前は。
「ザケンナ、コータ。こんな奴ブすの中のブスだよ。しかも四六時中電波喋ってんの、オエッ。しかもルイトモのキモオタにモテるから勘違いしてんの。コータみたいなイケメンにモテて無いに気がつけってーの」
口で言う必要が蚊程も感じられない事を、冴子と名前の判明した片われは動作付きで口にした。
そんなに吐きそうならトイレに行きな。
あと俺も去年までは同じ中学だったらか知っているが、コイツに懸想していた野球部主将(短髪の熱血系)とサッカー部キャプテン(見た目チャラくて根が真面目)と生徒会会長(文武両道な眼鏡男子)は別段キモでもオタでもなかった。
寧ろそれなりに見目形が整っていて、楓子で無くても彼女を作れそうなほど、外見も中身も良かったな。
目の前にいるコータ君とやらがイケメンに分類されるのなら、彼等は絶世の美男子とでも形容しなければ割に合わないのだが……。
「つーか吉岡ー。そのオタク入ってそうな白髪、アンタのカレシー?」
流石にこの手の挑発には乗らないが、かと言ってムカつかない訳でもない。
……白髪言うんじゃねえ、自分でも気にしてんだ。
あとコレも前から言われ続け、やはりというか重々分かっていた事なのだが、俺と楓子は見た目の共通点が全くと言っていいほど皆無。
家族ですら間違っても血縁がある様には見えず、知らない人からはどう見てもカップルにしか見えないらしい。
仕方無いとはいえ、その解釈は不気味にも程がある。
「彼氏にきまっ―――」
「兄貴だ」
馬鹿げているにも程があるしれ言を口にしかけた妹の口を塞ぎ、真実の方を
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