第十六話:スーパーマーケットの中で
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解していない証拠だろうが。
何の張り合いにもならねえよ。
いい加減離れて欲しいのだが、二人は向きになってぐいぐい詰め寄ってくるのを止めようとせず、有り帝に言って奇妙な体勢となった俺たちに向け、奇異の目がこれでもかと集まる。
露骨に視線を避けられたり、クスクス笑われたりしているのが、コイツらには見聞き出来ないのだろうか? ほらみろ、真正面にいるカップルはこちらを指差して臆面なく笑ってやがるのに。
まるで芸人のコントでも見ている様な顔をして、その一組のカップルは周りとは違い、此方をガン見したまま。
オマケにそれなりの速度で近付いて―――――まて、近付いてきた……?。
「吉岡じゃーん、何してんのーぉ?」
カップルの片われである、『ケバい』という言葉が実によく似合う化粧をした、水商売勤務であろう女が声をかけて来る。
その声には、嘲りと敵意が有り有りと含まれている。
此方の名字を読んだ事から、俺達の内どちらかを知っていると言う事になるが……俺にはこんな女、トンと見覚えが無い。
なら消去法で楓子の知り合いという事になるが、歳上の女と一体どんな関わりを持っているのだろうか。
「……なによ、斉藤。デートの邪魔、しないでくれる?」
普段の音効果つおバカさんな楓子からは想像もつかない、それなりに低くドスを聞かせた声が、彼女の口から飛び出て来た。
生来、どんな人でも程度の大小かかわらず表裏があると俺は信じている。
そして家では余りにも残念で、更に見た目だけなら美少女であり、思わぬ出来事を生み出してしまいかねない事も踏まえ、なのに楓子が普通に過ごせている事が毎度引っかかっていた。
今ので理解出来た……やはりとは思っていたがこいつにも表裏はあったようだ。
恐らくではあるが、斉藤と言うらしき女のような相手には、この敵愾心剥き出しなスタイルで話しているのかもしれない。
流石に家族以外の全てに対して “コレ” では、今周りにいる様な友達も出来ないからな。
差し詰め接してきた相手と、同じ態度で接する……ってところか。
「誰だ?」
まあ、そんな性格の客観的考察など置いておき。
取りあえず関係が気になったので、楓子に声のボリュームを落として聞く。
「クラスの奴」
さて、正直に言おう…………目が点になりかけた。
人間という生物は、身長だけでは決して年齢は分からない。
俺、楓子、マリス、斉藤、カップルの男の方と、五人居るこの中では俺は飛びぬけて身長が高いが、目の前のカップル二人よりは年下に見えると言っていい。
……なのに、まさか自分の妹と同い年なのだと知れば、大袈裟では無く吃驚仰天しても仕方ないと思う。
本気で
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