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歌集「春雪花」
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 日も翳り

  我の心の

   侘びぬれば

 君の影なく

     夜ぞ来りし



 日が落ちた黄昏時には、私は彼を思って胸が苦しくなってしまう…。
 薄暗くぼやけた世界のどこを探そうとも、彼の姿が在るわけがない…。

 彼を想う私を嘲笑うかのように、夜は私の影さえ消してしまうのだ…。

 全てが翳るというのに、どうしてここに…彼の影はないのだろう…。



 今日も来ぬ

  明日も来ぬと

    知りつつも

 待つ身虚しき

     秋の夜長は



 どれだけ愛していようと、所詮は告げることも出来ない一方通行…。

 今日も明日も…彼は私に会いになぞ来てはくれない。
 そんな分かりきったことは、今更考える必要もないのに…。

 なぜ…こんなにも彼に会いたいのだろう…。なぜ…こんなにも彼が愛しいのだろう…。

 そう思う自分が虚しく感じ、この秋の長い夜には…より一層、虚しくなってしまうものだ…。




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