Fate/stay night
1117話
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ながら叫んでいる美綴を凛に見せる。
「ちょっと待ってて」
それだけを言うと、そのまま叫びながら倒れている美綴を調べ始め……次の瞬間、真っ青な表情を浮かべて俺の方を見る。
「ちょっと、これって何!?」
「何がだ!?」
激昂、それとも興奮? ともあれ、とてもではないが普通の状態ではない凛だったが、何が理由でそうなっているのか、俺には全く理由が理解出来ない。
だが凛の方はそうではないらしく、懐からハンカチを取り出すと何やら短く呪文を唱えてから、暴れている美綴の顔へと近づけ……
「っ!? アークエネミー、ちょっと綾子が動かないように押さえてて!」
その指示に疑問を抱きつつ、美綴が動かないように押さえる。
美綴の身体が暴れないように押さえている時に気が付いたのだが、いつの間にかライダーの巨大釘によって受けた傷は塞がっている。
痛みがなくなるのは俺にとっていい事だし、今はそれを気にしなくてもいいか。
ともあれ、幾ら美綴が普通の人間にしては鍛えているとしても、俺の力を撥ねのけられる程のものではない。
「あああああああああああぁぁぁっ!」
身動きが出来なくなった美綴の顔へとそっと手を伸ばし、何らかの魔術を使ったハンカチでそっと顔に飛び散っていた俺の血を拭き取る。
……俺の、血?
凛の行動に疑問を抱くも、俺がやれるべき事が何もない以上、今はただ黙って凛の事を見守っているしか出来ない。
「ああああああああああぁっ!」
その行動が間違っていなかったのは、凛が美綴の顔から血を拭き取った事により、美綴の暴れ方が大人しくなったことが証明していた。
「……ふぅ」
「凛?」
「もうちょっと待ってて。まだこれで大丈夫って訳じゃないんだから」
俺の問い掛けに短く返し、そのまま血を拭き取ったハンカチで懐から出した宝石を包み込んでしまいこむ。
その様子は、まるで大事な物を傷つけないようにそっとしまいこむようにも、あるいは爆弾のような危険物を処理するような手つきにも、どちらにも見えた。
「……ねぇ、アークエネミー。綾子の顔についてた血って、もしかしてあんたの?」
「ああ。ライダーの攻撃から美綴を守る為に素手であの巨大釘の攻撃を受けてな。幸いその時の傷は勝手に回復したみたいだけど」
その言葉を聞いた凛は、今まで以上に真剣な目を俺の方へと向ける。
「あんた、本当に何者なのかしら? いえ、今はそれどころじゃないわね。今は一刻も早く綾子を私の家に運ばなきゃ」
「ああああぁぁぁああああぁあっ!」
叫んでいる美綴に視線を向けながら告げる凛。
「何でだ? 聖杯戦争のせいで被害を受けたんだったら、教会の方に連れていけばいいんじゃないか?」
「駄目よ。綺礼のと
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