Fate/stay night
1117話
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前に差し出す。
次の瞬間には、ザクリと肉に巨大釘が突き刺さる音が周囲に響く。
「ぐおっ!」
差し出した右掌に激痛。
だが、その激痛を半ば無視しながら強引に俺の右腕に突き刺さった巨大釘を強引に引っ張る。
筋力の差で、あっさりとライダーがこっちに引っ張られ……だがその本人は空中で体勢を立て直すと、近くにあった壁を蹴って再びこちらと距離を取る。
「ばっ、何だって美綴をあっさり奪われてるんだよ! この無能が!」
「申し訳ありません、シンジ。ですがこの場であの男と戦うのはこっちにとっては不利しかありません。ここは一旦退きます」
「ぐっ!」
そう告げ、俺の腕に突き刺さっていた巨大釘を強引に引き抜く。
再びの激痛と、周囲に散らばる血。
その痛みを無視しながら、ワカメを横抱きにしたライダーに向かって一気に間合いを詰めようとし……
「ああああああああああああっ!」
突然背後から響いてきた声に、動きを止める。
聞こえてきたのは間違いなく美綴の声であり、そちらに意識を捕られた次の瞬間、ライダーはこの場からワカメを連れたまま離脱に成功していた。
「ちっ!」
舌打ちをしつつ、視線の背後へと……美綴の方へと向ける。
そこで見たのは、何故か地面で物凄く苦しんでいる美綴の姿。
何だ? ライダーが何か置き土産でもしていったのか?
どうする? 俺の能力は戦闘特化と言ってもいい。回復の類に関係する能力がない以上、美綴をどうする事も出来ない。
けど、このまま美綴を放っておく訳にも……
そんな風に美綴をどうするか考えていると、不意にこっちに近づいてくる足音が聞こえてくる。
「ああああああああああああああああああああぁぁっ!」
ちっ、美綴の悲鳴を聞いた奴か!?
どう誤魔化そうか迷い、結局誤魔化しようがないと知り、聖杯戦争に巻き込まれただけの美綴を放っておく訳にもいかず、しょうがないので抱き上げてここから一旦避難した方がいい。
そう考えた俺に、念話が聞こえてきた。
『アークエネミーッ! そっちから悲鳴が聞こえてくるけど、一体何!?』
っ!? そうか、この足音は凛か。
『分からない。ただ、悲鳴を上げているのは美綴だ』
『っ!?』
『ライダーとワカメが美綴を襲っている場面に出くわして、それを止めたのはいいけど、何だかライダーが逃げる際に置き土産か何かをしていったらしくて、いきなり美綴が苦しみ始めた!』
『待ってて、もうすぐそっちに……着いた!』
その言葉と同時に、凛が到着する。
「アークエネミー、綾子は!」
「こっちだ」
「ああああああああああああああああああぁっ!」
地面に倒れたまま、頭部を膝の上に乗せて、いわゆる膝枕の状態になり
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