IF 完全平和ルート
偽装結婚シリーズ
偽装結婚開幕の話
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顔面を真っ青に染めた男と、その真向かいに佇んで苦笑している背の高い人影。
男と人影。
そのどちらに形勢が傾いているかなんて一目で明らかだった。
「く、くそ……! 写輪眼も、白眼を持ってしてでも、覆らないだなんて……!!」
「あー、もう、諦めた方が良いんじゃないか、猿飛殿」
「幻術返しも試したし、意識を曖昧にさせる香の類も使われていない……。
だのに、目の前にある喉仏の無い首は変わらないとなると――……これが現実であるということの……疑い様が、無い」
がっくし、とその場に膝を付く男。
精根尽き果てたと言わんばかりのその様子に、人影は困った様に頭を掻いた。
「……わかった。もう無駄な足掻きは止める。ここまで来ればもうどうしようもない……お前は、お前は――正真正銘、女だったんだな……」
「……なんで性別をカミングアウトしただけでこんなに絶望されなくちゃいかんのだ……と思うのはオレ――じゃなかった私だけか?」
「うるせー。胸に手ぇ当てて、普段のハチャメチャ振りをとくと思い出せ。今までどれだけ俺が振り回されたと思ってやがる」
疲れた様に一息吐くと、男はゆっくりとした動きで身を起こす。
そうしながら向かいに立っている人影を上から下まで見つめて、再度溜め息を吐いた。
「しっかしなぁ……。ミト殿、とまでは言わんが、せめて桃華殿並に、出るとこでていたらなぁ……」
「――よーし、よしよし。猿飛殿がオレの最愛たる妹と人の大事な側近を、普段どのような目で見ているのかよーく理解した。――目ぇ瞑って、歯ぁくいしばれ」
「待て、待て、待て! 笑顔で握り拳を作るな! 俺はお前やマダラ殿と違って、まだ人間捨ててないんだ!」
「はっはっは。今の一言が言い訳になんてなるものか。しれっと、人の事を人外扱いしやがって。オレだって人間止めた覚えは無いわ!」
「ここでマダラ殿の人外設定を外さないお前が俺は恐ろしいよ……」
呆れた様に肩を落とすと、男はやや不躾と言っても良い眼差しで目の前のその人を眺める。
男の口よりやや残念そうな色を帯びた声音が漏れた。
「別に男顔……って訳でもないんだよなぁ、お前。けど今まで疑われなかったとなると……普段の言動のせいだな、こりゃ。――女物着て黙って佇んでいてくれさえすれば、確かに柱間“ちゃん”で通るからなぁ」
「……やめてくれ、その呼び方」
「何だよ、柱間ちゃん?」
にっこりと厭味なまでに朗らかな微笑みを浮かべた男に向かって、人影もまた目だけは笑っていない微笑みを浮かべる事で返した。
「よーし、分かった。もう一度その戯けた呼び方をしてみなさい。――今すぐ猿飛殿が奥方殿に告げたプロポーズの中身を、一言一句違わずに大声で木の葉中に言い触らして来てやるから」
「
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