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俺と乞食とその他諸々の日常
四十話:覚悟と日常
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 二人の強い言葉にエクスヴェリナは高らかに笑う。
 その様は純粋に喜んでいるようにも見下して笑っているようにも見える。

「まあ、何にせよ元に戻したいのなら我と死合え。それ以外は認めんぞ」
「待って! 死合いなんて認められないよ! やるなら普通の試合にはできないの?」
「戦いとは殺すか殺されるかだ。それ以外の結末など我は認めん」

 スバルの説得にも聞く耳を持たないエクスヴェリナ。
 ジークはそんな様子をじっと見つめながら思考を続ける。
 そして、ある決意をして口を開く。

「わかった、その勝負受けたるわ」
「ジーク! あなた何を―――ッ!」

 ヴィクターが非難するように呼びかけるがジークの目を見て直ぐに口を噤む。
 彼女の目は驚くほど澄んでおり覚悟を決めた者にしか宿せない光が宿っていた。

「リヒターがどう思ってるかなんて(ウチ)には分からへん。でも、(ウチ)の想いをリヒターに届かせることはできる。見せたるわ、(ウチ)のエレミアを!」
「そうか、それは楽しみよのう。果たして汝がこれと歩むに相応しい器があるか……見定めさせてもらおう。死合いは明日だ。場所は―――」
「ダールグリュンが責任を持って用意しますわ」
「そうか、それでは我は帰らせてもらおう」

 必要なことだけを言い終えると呼び止めようとするスバル達を無視して部屋から出て行くエクスヴェリナ。
 その姿が見えなくなってからジークは力が抜けたようにヘタリと座り込む。

「大丈夫ですか、ジーク?」
「ううん、平気よ。ちょっと気が抜けてしもーてな」
「それにしても君があっさりと申し込みを受けるなんてね。もう少し悩むと思ったんだが」

 ミカヤの問いかけに少し照れたように顔を赤らめながらジークは立ち上がる。
 そしてモジモジと指をつつき合わせながら恥ずかしそうに理由を答える。

(ウチ)がリヒターの傍におってもええかを確かめるんやろ。やったら、(ウチ)は逃げんよ。伝えたいことがあるし、それに……ずっとリヒターの傍に…おりたいし」

 軽くプロポーズ紛いなことを言ってのけるジーク。
 しかし、周りの人間はジークがリヒターのことを好きなのは百も承知なので特に反応を示さない。
 ジークとしては恥ずかしいことを言ったのに誰も反応してくれないので少し悲しい気持ちになる。

「え、えっと、もうちょい反応があってもええと思うんやけど?」
「いえ、チャンピオンがリヒターさんを好きなのは周知の事実ですし」
「私は寝取りを目標にしているからね。早くくっついてくれないと困る」
「如何に二人の距離が近づいたとしても妹には遠く及びませんので」

 エルス、ミカヤ、アインハルトにそう返されてガックリと肩を落とすジーク。

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