第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
20話 新たな一歩
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には極めて鋭敏に拒絶反応を示すのだろう。しかし、こればかりは可哀想で済ませる気はない。
「俺達がリアルに戻る為にも、戦力は多いに越したことはない。それに俺はお前達の実力を見極めた上で頼んでいる」
「い、いやいや………ボク達にそんな事できるわけ………」
「お前達は、SAOにおける戦闘において引き際を心得た筈だ。恐らく、誰よりも手痛く学んだだろう。だからこそだ。このゲームではステータス的に強いというだけでは生存できない。《死なないように期を見定める》ことが出来る奴こそ生き残るんだ」
この点においては、嘘はない。
当然、ステータスという数値は目に見えてプレイヤーの生存率に寄与する力だろうが、それだけでは生存は適わないことは俺もこの目で見たところである。第一層ボス攻略におけるレイドリーダーであった騎士の死が何よりの証左だ。ベータテスターとしての知識を以て自己強化に励んだであろう彼の高水準のステータスも、LAという欲望に駆られて目を曇らせ、《引き際》を見誤って命を落としたのだ。相手の手の内は既に知っていると錯覚したが故に油断し、その慢心によって死んだのだ。
その点、レイ達は既にディアベルの二の舞を踏むような事はないだろう。足るを知る者故に、無用な挑戦はしない筈だ。それこそが《引き際》を知るというものなのだと俺は考えている。少なくとも、その感覚はSAOプレイヤーの中でも随一のものだろうと思えるほどに、俺は期待している。
「………そんな事、できるのかな………」
「俺は《出来ない奴》と《させたくない奴》には頼まない。当然、必要ならば協力だって惜しまないさ………とはいえ、あくまで俺は頼んだだけだ。そこから先は自分で決めてくれ」
ピニオラの嘘の完結と、クーネ達のボス攻略参入への誘導。
言いたい事は一通り言ったので、その場を離れて再びソファに腰掛ける。後ろではヒヨリとティルネルが混ざっているようだが、後は任せるとしよう。アルゴは「ようわからん」と頭を振って、しかし揺り椅子に身体を沈めた姿からは安堵さえ窺える。これが所謂大団円というやつなら、ピニオラに一泡吹かせたと考えても良いのかも知れない。
少なくとも、クーネには真意を伝えてある。あとは彼女達次第といったところか。
――――やがて、時は過ぎて四人は自分達の拠点に帰還、アルゴも所用で出ていき、その場はお開きとなる。リビングには俺とヒヨリとティルネルを残すのみとなり、妙な静けさが室内を覆った。さっきまでが賑やかだっただけ、沈黙が沁みる。
「クーちゃん、嬉しそうだったね?」
「まあ、そうだろうな」
「えぇ、私まで幸せな気分でしたもの」
ヒヨリの呟くような問いかけに、二者二様の答えを返す。俺としては、目を離した隙に初対面の相
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