月下に咲く薔薇 12.
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感だと首肯する。
「では、こういうのはどうだ?」渋い顔をする男達に混じりながら、切り替えたクランが明るい前振りでクロウ達の視線を釣り上げる。「ティファの力を借りるのだ。ZEUTHが信じる通り、ティファの予知は大当たりではないか。緊急事態なのだ。まず、ここにいる4人だけで彼女の意見を聞きに行こう!」
「話としてはわからなくもないが、やめた方がいい。今彼女は、シンフォニーの痕跡を探しているってロジャーから聞いているんだが」そのネゴシエイターから聞いたままを説明し、クロウは更に付け加える。「第4会議室の事を予知した彼女なら、俺達が何も言わなくたってアイムの感知には注力してくれているさ」
「いや。スフィア・リアクターのアイムは、色々と未知数だ。対抗するには、こちらも全員参加で事に当たらなければ」小さなクランが、いきなりドアに向かって闊歩する。「どれ。一つ私が直接…」
しかし、矢のような早さで、ミシェルの右手がクランの襟を後ろから掴んで止めた。
「お前の考えそうなアイディアだな、クラン。もうじっとしていられなくなって、ティファを訪ねるとか言いながら、アイムに待ち伏せを仕掛けるつもりなんだろう」
「くぅーっ!!」
見透かされた事が余程悔しかったのか、クランが身を翻してミシェルの腕を掴むなり投げ技に出る。
「ちょ、クラ…!」
ろくに言い返す事もできないうち、少年の足は大きく弧を描く。あのミシェルが何もできぬまま、次の瞬間には仰向けに倒されていた。
流石はゼントラーディ。体勢の不利を、反射的な重心移動で強引にねじ伏せてしまったようだ。
「どうなりたいのだ? お前達は」
更に、クランの上目遣いがクロウとロックオンを見比べにかかる。
「クラン」仰向けから上体を起こしつつ、ミシェルが幼馴染みの背中に呼びかけた。「今の時間は、女の子達全員が休憩に甘んじてるんだ。お前が1人だけいい思いをしたらずるいだろう?」
「ひ、1人ではないぞ」
クランの視線が、クロウに刺さった。その瞬間、クロウは相手の意図を全て察知する。
鬱積を抱えたクロウまでもを巻き込む事で、「1人でいい思いをする」という問題の箇所をちゃっかり克服しようとしているのだ。クランは。
「一応、お前の意見も聞いてやる」少々不機嫌な様子で、ロックオンがクロウに尋ねた。「行きたいのか? ティファのところに」
「まぁ、暇は暇だしな。それに、全員の力を結集するっていう考えには、俺も大賛成だ。ロックオン。お前だって、このままじゃアイムの仕業と証明できないって歯噛みしてるところはあるんだろ?」
見張りと護衛に熱心な友人へ、クロウは逆に問いかけてみる。
「俺か? 俺は…」
元々、内に蟠りを抱えたままでいる事はわかっている。隻眼のスナイパーは、視線を泳がせ突然無口になった。
「行こうで
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