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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 12.
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いいか」
 ロックオンの決断で、この後のクロウの行き先は決まった。さて、そのクラン達は今どこにいるのだろう。
 朝、クランが出てきた部屋のドアをクロウが視線で叩こうとすると、代わりにボビーがノックした。
「ミシェル。クロウとロックオンが来たわよ」
 無言のままドアが開く。
 そして、「急げ」と内から唱える少年の声がした。確かにボビーが案じる程に、訪問者の顔ぶれを確認する余裕さえなさそうだ。
 男のウィンクで送り出され、クロウとロックオンはクランの部屋に入った。普段ならば男が3人も女性の部屋に入るなどあり得ないが、クランとミシェルは朝からの情報共有以来直接クロウに尋ねたい事があるのだろう。2人は、先程のスメラギ達と酷似した表情を浮かべ仲間達を迎えた。
「クロウ。俺達も、あの後何があったのか、大体の話くらいは知っている。だが、敢えて訊きたい。本当にアイムがいたのか? それから、もう一つ。バラは、奴の仕業と断定されたのか?」
「…俺の判断でお前に教える。前者はイエス。後者はノーだ」
 歯切れの良い返答から始め、クロウはショッピング・モールで起きた事とスメラギ達の反応、そして基地に残された4・5本目のバラについてどのような流れで自分が知ったのかを伝えた。
「ただ、スメラギさん達には悪いが、俺は今でもアイムの仕業だと思ってる」アイム犯行説が一旦棚上げになった事に納得がいっていないのか、ロックオンの語気はいつになく荒い。「獣人が、ズール星人が、ZEXISに花を贈るとかあり得ないだろ? だが、アイムになら動機がある。事実、ミシェルとクランはその花のおかげで気まずくなりかけた。第4会議室に花が2本贈られて、バトルキャンプは警戒態勢に入ってる。そういう下地を整えてから俺達の足を掬うのが、アイムの常套手段じゃないか」
「それは言えるな。よもや、ミシェルに贈られたバラが敵の作戦だったとは。うっかり私は、その罠にはまってしまうところだったぞ」
 クランが立ったまま1人で納得の腕組みをすれば、一方でミシェルは一拍置いてから「アテナの方は?」と訊き返す。
 今の問いには、クロウが答える事にした。
「どうやら桂がつきっきりらしい」
「なるほど。今の様子だけで判断するなら、バラ騒動の影響で、守勢なりにもZEXISのモチベーションはかえって上がったって訳だ」
 SMSの制服姿で、ミシェルが何がしかを考える素振りを見せた。
 その小ささ故に女性1人用となった部屋の中、男3人は窮屈そうに立ったまま会話をしている。クランが敢えて男達全員に付き合うのは、ベッドサイドに座ってしまうと身長差が更に広がってしまう為なのだろう。
「怖いのはこの後だな。何をやって、アイムが現状を派手にひっくり返すつもりなのか」
 低く呟くロックオンに、クロウのみならずミシェルとクランも同
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