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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 12.
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の騎士団の応援くらい。そう思っていても、上からのきついお達しが容赦なくクロウをシフトから外してしまう。
「さっき言われたばかりだろうが。子供や女の子が我慢してるんだぜ。ここでお前が従わなくてどうする」
 不貞腐れぎみのクロウに、オズマが「早く行け!」と怒鳴りつけた。しかも、「ロックオン。言って従わない奴の扱いは、心得てるか」と高圧的な脅しまでする。
「ああ」気落ちしたクロウなど眼中にないのか、ロックオンがオズマと思考を通わせた。「いざとなったら、殴り飛ばしてでもいい子にさせるさ」
「何かあったら、すぐに俺達を呼べ」
「了解だ」
 首を摘まむ親猫よろしく、ロックオンがクロウを集団の外に出す。
「力ずく、か」とぼやきながらも、クロウは後ろを見ずに歩き始めた。本気で拳を使う事も辞さない相手に抵抗する方法は、ただ一つ。自主的に行動する事だ。
「そういう事なんで、後は任せる」
 声だけをかけ、クロウはロックオンと共に昨夜から使っている自室に戻った。
 そこでクロウは自分の服に着替え、借り物の靴をロックオンに預けると、ボビーの私物一式を抱え持ち主の部屋を訪れる。
「悪い。汚しちまった」
 アイムと何があったのかには触れず、クロウはまず詫びボビーがどう出るのかを待った。
「いいのよ。汚れたって構わないって言ったでしょ」両腕に下げている服を受け取ると、まず汚れ具合を確認し、ボビーはそれらを椅子の背もたれにそっとかけた。ロックオンから受け取った靴も同様に見、「軽傷ってとこかしら。本当に無事で良かった」と優しい表情でクロウの肩にそっと触れる。
「かすり傷程度さ」
「聞いたわよ。こってり絞られた後なんでしょ? なら、私から言う事は何もないわ」
「…ホッとさせてくれるな。今の言葉で生き返ったぜ」
 ある意味、本物の女性よりも人の心を満たすものがある。もしこれで本人に男性嗜好さえなければ、ZEXISの半数以上を占める男性陣の接し方はもう少し柔軟なものになるのだろうに。
「クロウちゃんは、この後どうするの?」
「別に、これといって…」
 一瞬躊躇してから、クロウは正直に予定の一つもない事を吐露した。皆が対アイムで自主的に対策を講じているというのに、参加できない我が身がもどかしくてならない。
「だったら、ちょっとミシェルの様子を見てあげてくれるかしら」
「ミシェル? クランじゃなくて?」
 つい訊き返してしまったクロウに、「当たり前だろ」とロックオンがつっこみをかける。「こういう場合、花を贈られた当事者よりも、隣にいる男の方が気を揉むのが普通じゃないか」
「そりゃそうだ」合点するクロウに、「もう…」とボビーも言葉を減らす。
「張りつめてるわ。いつもの彼らしくないのが痛々しくて」
「そうだな。ばらばらでいるより、少しでもまとまっていた方が
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