月下に咲く薔薇 12.
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インで気合いを入れるのかと思いきや、赤服の少年は意外にも缶の飲み物をアルトに投げ渡した。
「あ、ありがとう」
きょとんと受け取るアルトを横目に、ルナマリアが「あら、私には?」と悪戯っぽく膨れて見せる。
「女の子達は、先に休憩。俺達は、このまま黒の騎士団と動くから」
さも気をきかせた風なシンが、そこまで言い切った後で目線を泳がせオズマに事後承諾を求めた。
そもそもアルトはSMS所属のパイロットで、側には上官たるオズマ少佐がいる。突然、分をわきまえぬ独りよがりをしたとの負い目に苛まれたのだろうが、シンに対するオズマの眼差しは、子供というより子犬を見つめるそれに近い。
「やりましょう、オズマ少佐」と、キラもシンを後押しした。「そもそも僕達は、黒の騎士団の背中を押したくて集まった有志ですから」
「いいんだな」
低く短い問いかけの後、オズマは集まった30人以上のパイロット達を見回す。勿論、異を唱える者は1人もいなかった。そして、皆が指揮官の次の言葉を待っている。
「これまでのやり方を検証するまでもない。アイムは、人の弱い部分に力をかけて追い込む事に長けている。しかも奴は、ZEXISのパイロットについての詳細な情報を握っている。絡め手で攻め、相手が自滅するのを待つやり方だ。しかし! そんな戦い方は外道のする事だ! 俺達はZEXISの仲間として、敢えて黒の騎士団と同じものを被る」
「そうこなくっちゃ!」
アポロ達が喚く中、刹那やティエリアはじっとオズマを見つめていた。
「おそらく、アイムの基地侵入を防ぐ方法はない。下手をすれば、奴のやりたい放題を許すだけだ。…働きづめになる分、皆には悪いが、これから俺達は黒の騎士団の自主活動を支援する。万が一アイムの侵入を許した時には、ZEXISの全員でその負債を背負うぞ」
「了解!」
まとまった人数の声が、一つになった。
「私もそうしたいんだけど…。女の子が先に休憩っていうのは、もう決まった事なの?」
いぶきがオズマに確認を求めると、「問題はないだろう」とちらりとシンを見る。
「良かったな」
クロウがシンに声をかけると、それは嬉しそうに少年は目を細めた。
「うーん、私も休憩しなければならないのか」
クランが名残惜しそうにミシェルを見上げると、当のミシェルはクランの肩を押し共に集団から抜けようとする。中原といぶきの背を押しながらオズマに目配せをする青山も同じだ。揃って、それが自分の役割だという自覚を静かに背負っている。
なるほど。女性だからというだけではない。クランと中原はバラを贈られた疑いがある為、護衛付きで外されるのだ。
ぼんやりと指示を待っていたクロウの肩を、不意にロックオンが叩く。
「わかってる筈だよな? お前もだ」
「…おい、勘弁してくれよ。俺だって」
黒
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